ここまで0分で飛ばしていた真田七段。△2二玉に初めて時間を使い、46分考えて▲1八香と指しました。
▲1八香は間合いをはかった手で、後手の最善形を崩す狙いがあります。よくある進行は、△4三金直▲2五歩△4二金引▲4五歩です。2筋を突き越してから先手は▲4五歩と仕掛けることができます。
単に▲2五歩だと手番は後手で、△6五歩と動かれる心配があります。しかし本譜のように▲1八香△4三金直▲2五歩の交換を入れれば、▲4五歩の当たりがきついため後手は△6五歩と動きにくく、△4二金引を選ぶことになります。そうなれば手番は先手になり、▲4五歩と仕掛けられるわけです。手待ちで手番を得られるのは将棋の深いところですね。
△2二玉の局面は先手の分岐点で、▲2五桂、▲1八香、▲2五歩、▲6八金右が指されていました。千葉幸生六段は「▲6八金右が最新ですが、それだけでは限界があるので少し古い形も掘り起こす棋士もいます」と話していました。相矢倉と同じように、角換わりも先手が工夫する時代になるかもしれません。