2014年9月 9日 (火)

感想戦のポイント

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終盤で時間をかけて調べられたのが▲2三歩(73手目)の局面。本譜は単に△1六竜と引いたので▲3五馬が絶好になってしまった。感想戦では△5四香と打ち、▲7五歩△1六竜▲5四馬△同歩▲2四香(A図)の進行が示された。

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ここでは後手の手段として(1)△4七銀、(2)△5一銀、(3)△6三銀が検討された。

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A図で(1)△4七銀は▲同玉なら△3六角▲5六玉△6二飛▲5三銀△5五歩▲同玉△1五竜▲4五桂△8二角(B図)で後手やれる。△2四竜と香を外す手が利くのが大きい。しかし最初の△4七銀に▲6八玉と逃げられたときに思わしい手がない。

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A図で(2)△5一銀は、▲5三銀△3六角▲6八玉△2一歩▲5二銀引成△同銀▲同銀成△5八飛▲7七玉△7六銀▲6六玉△6五歩▲7六玉△7八飛成▲7七銀△7五歩▲6五玉△6七竜▲6六歩(C図)と進めて先手が余している。「そうか、ちょっと足りないですか」と羽生名人。

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A図で(3)△6三銀は、▲5三銀△3六角▲6八玉△4五桂(D図)と勝負する。▲同桂なら△5八飛▲7七玉△4五角が厳しい。しかし、D図から▲5二銀引成△同銀▲同銀成△5七桂成▲7七玉△7六銀▲同玉△7五歩▲6五玉△1五竜▲4五桂と進むと先手が余している。「詰まないか。ちょっと足りないですね」と羽生名人
結局、▲2三歩の局面で後手に思わしい手はなかった。後手の改善案は▲3三歩(51手目)とたたかれた局面にさかのぼる。

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本譜は△同桂と取ったが、これが大きな利かしになった。そこで感想戦では△2五角と打つ手が調べられた。糸谷六段は対局中、この手を気にしていたという。以下▲6八玉△3三桂▲8三角△5八飛▲7七玉△7八飛成▲同玉△7一金打でE図。

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こうして無理やり竜に働きかけて角を取りにいく。E図以下は▲9一竜△8三銀▲2六銀△5八角成▲6九銀△同馬▲同玉△5五角でF図。

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△8三銀で角を取り、△5五角と打てば竜が詰んでいる。複雑な順である。羽生は「捕まえ方がちょっと……」と話しており、考えにくい順だったようだ。F図以下は▲3四歩△9一角▲3三歩成△4九飛▲5九飛△4六飛成▲3七銀△7六竜▲7九香△6七竜▲6八歩△6五竜▲3二と△6二玉が示された。「自信ないです。皮膚がないから」と糸谷六段。羽生名人は「飛車の取り方がいまいちと思いましたが、こうやるんでしたか」と話していた。