2014年7月の記事

2014年7月15日 (火)

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図は▲1四歩と垂らした局面。△同香に▲1五香△同香▲同角と香交換するのが先手の狙いで、前期決勝トーナメントの▲羽生-△森内戦でもそう進んでいました。

しかし、このなにげないところで深浦九段が新手を放ちます。△1六歩です。

20140715anakamurahukaura54▲1六同香には△2七角と打つ意味でしょう。玉頭の垂れ歩を放置したままなので、かなり研究してきたことが予想されます。

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「しかし、ここで△2七角に▲1三歩成とされると△同桂しかないですよね。普通は端に桂を跳ねさせられると、後手が嫌なんです。いやー△1六歩は考えませんよね。△同香から香交換して△2二玉まで勝手に手が動きますが」(高野六段)

20140715anakamurahukaura58端に桂を跳ねると、後手は3三の地点が薄くなるので▲3五歩△同歩▲3四歩のような手が気になります。どこかで△3六角成と催促する手も見えますが、▲4四角△同歩▲3三歩のような強襲をあびる可能性もあります。△1六歩はそれらを踏まえた、リスクを覚悟した受けと言ってもいいでしょう。

Dsc_5566(角換わり後手番で新手を放った深浦九段)

11時過ぎ、中村六段が▲4五歩と仕掛けました。

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後手は穴熊にしているのが現代的な工夫です。▲4五歩以下、△同歩▲同桂△4四銀▲2六角まで進みました。

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▲2六角は△3七角を消しながら攻め駒を足す意味です。進行の一例は△4三歩に▲1五歩と先手がどんどん動いていく順です。後手は先手の攻めを受け止めて、カウンターを狙うことになります。

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(朝の中村六段)

Dsc_5564(王将をすえる深浦九段)

Dsc_5568(下座の中村太地六段)

Dsc_5580(対局開始を待つ二人。観戦記は高野秀行六段が務める)

Dsc_5581(盤をにらみつける中村六段)

Dsc_5582(めい想して待つのが深浦流だ)

20140715anakamuraishikawa10戦型は角換わりになりました。10時30分過ぎ、38手まで進みました。かなり早いペースで進行しています。

20140715anakamurahukaura38深浦九段は△7三歩型を採用しています。桂は活用しにくいものの、飛車先のコビンを突かないでスキを作らない作戦です。昨年の竜王戦決勝トーナメント▲羽生善治三冠-△森内俊之名人(現竜王。肩書は当時)でも指されています。

10時になり、対局が開始されました。

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Dsc_5589_2(角道を開ける中村六段)

Dsc_5594(深浦九段は飛車先の歩を突いた)

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(中村六段の3手目は▲2六歩。得意の角換わりを目指している)

Dsc_5602(角換わり後手番では守勢になることが多いが、深浦九段はどんな作戦を用意しているのだろうか)

7月15日(火)は深浦康市九段(1組5位)-中村太地六段(4組優勝)戦をお送りいたします。

深浦九段は8回目の決勝トーナメントで、2009年(第22期)には挑戦者決定三番勝負まで進出しました。対する中村六段は2回目の決勝トーナメント。今期は藤森哲也四段に逆転勝ちを収めて本局を迎えています。

対戦成績は深浦0勝、中村2勝。第83期の棋聖戦挑戦者決定戦では、勝った中村六段がタイトル初挑戦を果たしました。深浦九段としては2年ぶりに借りを返したいところです。

本局の中継は棋譜コメント入力を銀杏、ブログを紋蛇が担当いたします。よろしくお願いいたします。

 

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Tnakamura_3

2014年7月 7日 (月)

第27期竜王戦決勝トーナメント、次戦は深浦康市九段(1組5位)-中村太地六段(4組優勝)戦が7月15日(火)に行われます。どうぞお楽しみに。

Img_3751本局の棋譜。

本日の中継は以上で終了いたします。
ご観戦誠にありがとうございました。