2013年11月21日 (木)

小林健二九段

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(封じ手を準備する小林健二九段。香川県高松市出身の郷土棋士)

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(封じ手を書き終えた小林九段への合同インタビューが行われている)

以下は潤記者による文章です。

ここで本局の立会人を務める小林健二九段について、幼少期を中心に語ってもらったので紹介しよう。
小林健九段は高松市生まれ。中学まで地元の学校に通っていた。そんなときに出会ったのが家の近所で行われていた縁台将棋。興味がわいておじさんに立ち向かっていったが、コテンパンにやられた。その後友人と将棋クラブに通ったが、13歳で13級と弱かった。
ただ小林少年は9×9の升目が大宇宙に見え、そこに惹かれ将棋の虜になった。自身では勉強するものの全く強くなっていないと思う日々が続いたが、あるときテレビで放送されていた中学生の将棋大会を見て「弱いな」と思うことがあった。実際にはそこそこ強かったのだが、自身が強くなっていたことに気付いていなかったのである。
あるときイベントで大山康晴十五世名人に2枚落ちで指すが敗れた。ただそのとき、「あの少年は必ず将来A級八段になる」と大山十五世名人は予言。小林はそれを実証して見せたが、その話を聞かされたのはA級に上がってからだったという。母が慢心しないよう、小林には話していなかったのだ。
その後は板谷進七段(当時)門下として奨励会に入り、東京に上京し塾生を始める。ただ1年ほどで不慣れな環境のため病気に陥る。病気が治らないため実家に戻ったが、そこでも盲腸に掛かり、しばらくして東京に戻ると今度は十二指腸潰瘍を患った。
その原因は四段になろうとするプレッシャーから来るものだったが、名古屋に住む師匠の元に移り一変。師匠の愛を感じるようになり、体調がよくなり成績に繋がった。そして3年9ヶ月の奨励会生活を終え、晴れて棋士となった。
小林健九段は、「今回地元香川県で初の竜王戦開催に至ったことを大変喜んでいます。また正立会人に御指名いただき、サン・アンジェリーナのオーナーでもあり将棋連盟香川県支部連合会長を50年続けていただいている榊久雪さんとともにこの日を迎えられたのは大変感慨深いものがあります」と話した。続けて「今回の開催を機に、さらなる香川県の発展と、子供達の育みに繋がればと思います。両対局者に関しましては立会人の目からは普段と変わらず、どっしりと構えられている印象で、さぬきうどんも食べていただきましてさらに元気になられたんじゃないでしょうか。いい将棋になるよう期待しています」と締めた。