2013年8月15日 (木)

タテ歩取りのような金

Kifu_43

森内名人が△7四飛で歩を狙うと、郷田九段は▲7七金(図)と上がって守った。先後を逆にすれば、▲3六飛~▲7六飛のタテ歩取りと部分的には同じ形だ。見ての通り守備側は金が上ずり悪形になる。このことから、ひねり飛車は石田流に「手持ちの歩」と「後手の囲いの弱体化」という要素をプラスした「必勝戦法」として猛威を振るった。しかし時が経つにつれ、「狙われるのなら歩を突かなければいい」という発想が生まれ、対ひねり飛車側は低く堅い陣形を構築できるようになり、ひねり飛車の勝率は落ちて徐々に廃れていった。
本局もひねり飛車を受ける側の陣形がバラバラだが、図で△3四飛には▲4六銀~▲2六銀と二枚の銀を繰り出して位を攻める手段があるため、事情は異なっている。