第1図は100手目△3六同玉の局面。感想戦でも多くの時間を費やして検討されました。その検討内容は▲4七角(1)△同歩成▲同金△3五玉▲3六歩△3四玉▲4五銀△3三玉▲2三歩成△同玉▲2五竜(参考1図)以下も手数は長くなるも、先手が良かったというものでした。
ところが▲4七角(2)△3七玉▲2五竜△4七歩成▲同銀に△3四角(参考2図)があったようです。守り駒がと金だけなので、受けなければならなそうなところで、攻めの催促とはちょっと気がつかない手。感想戦では△4四角なら▲2九金で受けなしということでした。
参考2図から▲4八金打△2八玉▲3八金△1九玉▲2七竜は△1六桂(参考3図)として、次いで▲3九金には
△7八角成▲同玉△4五角の王手竜取りがあります。この△7八角成▲同玉△4五角の筋が△3四角の狙いです。井上九段に見解をうかがったところ「△3四角の局面は寄ってないように思います」とのこと。すると、第1図は後手が良かった可能性があります。
ただし、「現実的には(▲4七角に対して△同歩成▲同金から玉が)下がるんですよね。いい勝負そうだから下がりますよね」と渡辺竜王が感想戦で話していたように、はっきりした勝ちを読み切らないと△3七玉は危険なので指しにくい面があります。今後の研究が待たれます。いずれにしても、実戦的には▲4七角は勝負手でした。
2012年11月10日 (土)