2012年7月4日の記事

2012年7月 4日 (水)

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稲葉六段は△4四飛と飛車を4二から浮いた手に対し、すぐに▲4六桂と打ちました。△6四金と逃げれば▲3三角成が飛車取りの先手で調子がいいですが、大石四段はすぐに△4六銀と取り、以下▲同金△6四桂▲4七銀△6六歩と進みました。最後の△6六歩が先手陣の急所を突く一手のようで、棋士室では『後手持ち』から『後手よし』に評価が変わりつつあります。

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(潤)

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対局再開後の一手は▲4五同桂。以下△同銀▲1五角(上図)までパタパタと手が進みました。▲4五同桂と桂を取ってから▲1五角と打ったのが稲葉六段の工夫で、棋士室に訪れた杉本昌隆七段や豊島将之七段は、「玉の安定感で後手持ちですけど、差が付いているというほどではないと思います」と一様に口を揃えました。▲1五角には△3二飛が自然な応対ですが、▲3三歩△4二飛▲4三歩△同飛▲5五桂△同金▲同銀(参考図)と進んだ局面は、1五の角が受けにも利いており、後手容易でない局面のようです。

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(潤)

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△4五桂(56手目)の局面で夕食休憩となりました。稲葉六段がどのような受けの手を繰り出すのか。注目の一手は夜の戦いに持ち越しとなりました。△4五桂までの消費時間は▲稲葉3時間44分、△大石3時間5分。対局は19時に再開されます。

(若葉)

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図は17時頃の局面。大石四段は飛車、金、銀の利きに焦点の歩を放ちました。対して▲4七同飛は△3八角。また▲4七同銀は△4五桂と気持ちよく攻め込まれるため、▲4七同金が有力と棋士室ではみられていますが、以下△4五桂▲1五角△3七桂成▲4二角成△4八成桂▲5二馬△同銀▲4八金△2九飛▲4九歩△3六桂(参考図)と進むと、次の△4八桂成が△6九金以下の詰めろで厳しく、後手指せるのではないかと言われています。

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(潤)

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▲4六金も少考での着手。稲葉の指し手も思い切りがいい。本局は読み少しでもほころびがあると一気に崩れてしまいそうな将棋。手の広い、指し手の選択が難しそうな局面で両者は決断よく指し進めていく。
ここで後手は(1)△3三桂と跳ねたいところ。棋士室では△3三桂▲7九玉で後手がどう指すか考えられていたが、はっきりとはわからなかった。一例として△3九角は、▲3八飛(▲5八飛は△4五銀)△5七角成(王手金取り)▲6八角△同馬▲同銀と激しいやり取りの後、3四銀取りが残る。この変化は先手が十分のようだ。
(2)△3二飛も考えられるが、「これはなんだか危なそうですね」と菅井竜也五段。△3五銀や△4五銀から3筋を突破する狙いだが、△3二飛には▲3六歩と打たれてうまくいかないようだ。(51手目コメントより抜粋)

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(昼食休憩時、稲葉六段の脇息に置かれていたハンカチ)

(潤)

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図は15時40分頃、△3七角成と大石四段が角を取った局面。対して▲3七同桂と取ると棋士室ではみていましたが、稲葉六段は▲3七同金と金で角を取り返しました。山崎七段は、「▲3七同桂は以下△3五歩▲同銀△7三角▲4七飛△3二飛のように、さばきに出てこられる順を気にしたのだと思います」と感想を述べてくれました。

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(対局開始前の稲葉六段)

(潤)

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図は15時頃の局面。大石四段は金取りに△4二飛と回りました。対して▲4五歩は△4四歩の合わせが気になるところ。強く迎え撃つなら▲4八飛と回る手ですが、これも△4六角▲同角△5五金打の強襲がありそうで、先手は4六の角を動かすと、△4八飛成と飛車を取られる筋があります。△4六角では△3五歩などの攻めもありそうで、現局面を棋士室のモニターで見た山崎隆之七段は、「(先手は)大丈夫なのかな」とつぶやいていました。

(潤)

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14時30分頃、大石四段は△4五歩と歩を合わせ開戦。後手の角のにらみが強く、先手はこの歩を取ることは出来ません。稲葉六段は少考で▲3七角とこちらも自陣角を放ち、『角には角』で対抗しました。

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(対局開始前の大石四段)

(潤)