（関西将棋会館 「御上段の間」。静寂に包まれている）

（対局室に先に姿を見せたのは久保棋王・王将。上座に座ると、じっと盤面を見つめて丸山を待つ）

（本局の記録係を務めるのは千田三段。対局前にお茶を出すのも記録係の仕事の１つである）

（若葉）

対局開始から５分。
リラックスムードだった棋士室にいきなり衝撃が走った。
▲７六歩△３四歩▲７五歩△８八角成▲同銀△５四歩に、久保がいきなり▲７四歩と仕掛けたのである。

「おお！　仕掛けましたよ」
「え？　どういう意味？」
「何、これ？」
「すごい手が出ましたよ」

久保は１局目にとんでもない構想を用意してきた。（棋譜コメントより）

▲７四歩はノータイムでの着手で、久保の深い研究の裏付けを感じさせる。
盤上の動きがピタリと止まった。

（若葉）

10時となった。
記録係の千田翔太三段（森信雄七段門下、17歳）が対局開始を告げる。
挑戦者決定三番勝負第１局が始まった。

本局の先手となったのは久保。
脇息に左腕を預けてしばし気息を整えると、▲７六歩と角道を開けた。

（若葉）

第24期竜王戦の挑戦者を決める戦いもいよいよ大詰め。
渡辺明竜王への挑戦権は２人の棋士に絞られた。
勝ち上がってきたのは、１組優勝の丸山忠久九段と１組２位の久保利明棋王・王将。
どちらが挑戦者になっても、竜王戦七番勝負初登場となる。

対局開始は2011年８月16日10時。持ち時間は各５時間となっている。

本日の中継は、棋譜・コメント入力を翔記者が、本ブログを若葉が担当する。

（本局が行われる関西将棋会館。今日も強い日差しが照りつけている）

（若葉）