2010年11月25日の記事

2010年11月25日 (木)

Photo_81 増田六段

「羽生名人の(47手目)▲3五歩は前例が1局で渡辺竜王の研究をかいくぐったかに見えましたが長考で指された△4六歩が格調高いさすがの1手。ここ数手が勝敗に直結する大事な局面で両者の指し手が非常に興味深いです。

明日の展望ですがまず封じ手は何か?次に羽生名人がうまく局面を打開できるかそれとも渡辺竜王が棋風通りの手厚い受けで抑え込むかが最大の注目です。封じ手予想は▲2四歩です。△同歩に▲2八飛でどうなるかと思いました。

総合的な形勢判断ですが私は攻め将棋なので羽生名人の先手を持ちたいです。羽生名人52渡辺竜王48と見ます。」

(若葉)

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(羽生名人が封じ手を行った封筒に署名を入れる渡辺竜王)

Watasu_2 

(封筒を立会人の有吉九段に手渡す)

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(封じ手を終えて息をつく羽生名人)

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(最後に一礼して本日の対局が終了した。)

(若葉)

48_2左図は17時30分頃の局面。

48手目△4六歩を見て、先手の羽生名人が長考に沈んでいる。チャットに増田六段の解説もあったように、△3五同歩や△6三銀ではやりにくいと見られていただけに、本譜△4六歩は意表を突いたか。

封じ手時刻があと20分と迫っており、このまま封じ手になる可能性もありそうだ。

(若葉)

Vs

今度は二面で。さながら関西将棋会館の棋士室のような雰囲気になっている。手前は有吉九段と永瀬四段、奥は久保二冠と井上八段。

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有吉九段が貫禄勝ち。勝勢の局面で、

有吉九段 「もういいでしょう。」

井上八段 「先生、水戸黄門みたいですね(笑)」

(若葉)

竜王戦七番勝負の初日は18時封じ手となる。

封じ手とは次の日に対局が再開された時に指すと決めた手を対局者が封印し、次の日まで保管しておくことである。2日制のタイトル戦で用いられる手法だ。

封じ手に使われる封筒は立会人が作成。初日の最後に立会のもとで行われる。

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(立会人・有吉九段の署名が書かれた封筒。ここに封じ手が行われる。)

(若葉)

Hatakeyaman 解説チャットでは、明日解説を担当する予定の畠山成幸七段がゲスト参加して現在行われている。


47_3 増田六段と軽妙なやり取りを交えつつ、現局面(47手目)について、いくつかの候補手が挙げられている。

(以下は棋譜コメントより抜粋)

畠山(成)七段「(47手目をみて)▲3五歩ですか! 過去に1局だけありましたね。▲4五同銀も▲同桂も竜王が研究済みとみて名人は変化したのでしょうか。私の実戦では▲4五同銀の後に悪い手を指して形勢を損ねてしまいました。その時は▲3五歩は考えなかったです」
増田六段「▲3五歩は今見ると自然ですが、先入観で▲4五歩をとってしまいそうです」
畠山(成)七段「そうですね。さて、ここは長考でしょうか。さすがに△3五同歩は▲4五銀で先手の攻めに勢いがつくのでないですよね」


Photo_68 増田六段「▲3五歩に△同歩は取りにくいですね。以下、▲4五銀△同銀▲同桂△4四銀(参考1図)に▲3三歩や▲8三銀があります。▲3五歩には反射的に△4四銀と指してしまいそうです」


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畠山(成)七段「そうですね、△4四銀か△2七角が第一感ですね。 級位者の方向けに解説すると、ここで△6三銀▲5五角△5四歩なら先手の角は死にますが、それは▲3三角成以下後手が攻めつぶされます(参考2図)」
増田六段「△2七角が第一感とは! 前例を見ましたね」
畠山(成)七段「知ってました(笑)。でも、私はこの筋に角を打つのが好きで、先後逆で以前、増田さんとの対局では打ってひどい目に合わされました。ちきしょー」
増田六段「忘れてました(笑)」
畠山(成)七段「やられた方は覚えています(笑)。ここで△4四銀だとどうやるのでしょうか? ▲3四歩△3六歩▲4五桂なのですかね?」
増田六段「しかし、畠山先生の棋風だと△2七角と打って軟体動物の受けで後手をもちたくないですか?」
畠山(成)七段「ええ、前にも書いたように、そのラインの角打ちが好きなんです。ただ、死ぬ可能性があるからかなり勇気が入りますね」

Photo_70 増田六段「△4四銀は▲3四歩△3六歩▲4五桂(参考3図)で次に▲3三桂成△同桂▲4四飛が狙いです」
畠山(成)七段「そうですね、それを防いで▲4五桂のときに△2六角でしょうか? 」


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「△4四銀▲3四歩に△6三銀だと角は死にますが、それは▲4五銀(参考4図)で△6四銀なら▲4四銀。△6四銀で△4五同銀なら▲5五角が王手になり、後手壊滅です」

現地加古川では、14時から大盤解説会が行われている。場所は加古川市民会館。

まだ対局初日で本局が序盤ということもあって、今期竜王戦七番勝負を第1局から振り返っていた。解説者は山崎隆之七段。ゲストで久保利明棋王・王将と村田智穂女流初段も参加していた。

解説の山崎七段は、前夜祭でも触れられていた(イジメられていた?)ように、つい先日羽生名人と対局し、直接手を合わせている。第1・2局を振り返って、羽生名人の印象を語っていた。

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(左が解説の山崎七段、右がゲストの久保二冠。)

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(加古川出身の久保二冠。本局は得意の振り飛車ではないが、ゲストとして解説に参加。)

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(今回の解説会には、初日にも関わらず100人以上のファンが詰めかけているそうだ。場内には携帯中継を確認する年配の方の姿も!)

(若葉)

15時になり、午後のおやつが両対局者に出された。

渡辺竜王の注文はイチゴタルトとホットコーヒー。羽生名人はモンブランとホットレモンティーだった。

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(渡辺竜王のおやつ)

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(羽生名人のおやつ)

(若葉)