2010年10月26日の記事

2010年10月26日 (火)

16時8分。控え室で検討する森内九段、森下九段、中村女流1級らが見守る中、渡辺竜王は△1五同香(図)を着手した。

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この一手に対し渡辺竜王が費やした時間は、実に1時間27分に及ぶ。△1五同香に、羽生名人はさほど時間を使わず▲6五銀を着手。検討では、ここでいい手がないと「後手が苦しくなるかもしれない」と言われていた。検討で盤上に提案される後手の手が、ことごとく先手につぶされてしまうのだ。渡辺竜王は長考の中、うまい手段を見出すことができたのだろうか。

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59手目▲1五香に対し、渡辺竜王の長考が続いている。継ぎ盤では後手がよくなる順が見つからず、「封じ手にするかもしれない」とささやく声も。

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(16時過ぎの控え室。森内九段、「▲1五香ですか。これは長考したいですね……」)

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(すでに1時間ほど考えられてます、と言われ「あ、もう長考してるんですか、あ、はい」)

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(BS中継解説の森内九段=左、BS中継聞き手の中村女流1級=右)

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(BS中継の司会を務める、長野アナウンサー。検討を見守る)

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(15時31分の対局室。羽生名人は席を立っている。渡辺竜王はしきりに姿勢を変えながら、「はあ」「いや」とため息を漏らす)

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(外の様子。曇り模様の空から、鈍い日差しが降る)

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午後のおやつは、15時に対局室に運ばれる。渡辺竜王の注文は「チョコレートケーキ、ホットコーヒー」。羽生名人の注文は「ベイクドチーズケーキ、ホットレモンティー」。

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(渡辺竜王の注文したチョコレートケーキ)

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(羽生名人の注文したベイクドチーズケーキ)

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(15時の対局室の様子。両者ともケーキを口に運んでほっと一息……つけているのだろうか)

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「島九段の予想が当たった。△同香に▲6五銀と打つ手を検討している。以下(1)△4八銀成▲3五飛△2八角成(△3四歩)▲1三桂成と進めば、先手の攻めは途切れない。6四角型なら、機を見て▲6六香と打つ狙いもある。先に▲1五香と捨てることで、後に▲3五飛~▲1五飛とさばけるようにしている。『なるほど、コロンブスの卵だ』と島九段。その後、▲6五銀に(2)△3八香を検討している」【棋譜コメントより】

▲1五香と▲6五銀は個々では以前からあった手だが、その組み合わせ方が新しいアイディア。「組み合わせが絶品ですねえ」と森下九段。

「▲1五香でした。これが用意の手です。ここからは渡辺竜王も長考していくでしょう。▲1五香には△同香が普通で、ここで▲6五銀でしょうか。以下△4八銀成なら▲3五飛△3四歩▲1三桂成△同桂▲1五飛(参考図)で好調子です。途中△3四歩で△2八角成でしょうが、先手の飛車先が通っているので怖い形です。この局面は後手が次の一手をどう指すか、非常に難しいです。やはり▲6四歩から▲1五香はさすがの組み合わせです」(所司和晴七段)

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図は14時30分頃の局面。渡辺竜王は3七に銀を打ち、防衛線を築いた。この銀は△2六銀成~△2五成銀と動き、攻め駒を根こそぎにしてしまう狙いがある。羽生名人はここから間隙をくぐり、攻め続けることが要求されるだろう。
図の▲6四歩は、△同角と取らせて角を6四の地点に呼ぶ狙い。この位置に角が来れば、のちのち目標にして攻めることができる。タイミングを遅くすると、流れが激しくなっていた場合は手抜かれる(無視される)おそれがあるため、ここで突き捨てた。すでに一手一手が重い時間帯になっている。考えどころを随所に迎える中盤戦が、対局者を待ち受ける。

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(14時25分、対局室カメラによる羽生名人の表情)

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