終盤戦で印象に残ったのは、107手目▲7七同桂の局面です。ここで△7六桂と打ち、▲9八玉△8九角▲9七玉△7八角成とすれば後手玉がわずかに詰まず、渡辺竜王の勝ちでした。
しかし、本譜は秒に追われて△4三銀。詰むや詰まざるやを考えている状況で、なかなか指せない手です。通常は勝ちを逃して受けに回ると逆転するものですが、これを競り勝ったのは非常に大きいですね。森内九段の終盤の追い込みも非常に迫力がありました。
意欲的な序盤の新手から始まり、終盤の大激戦まで目の離せない素晴らしい一局でした。(四段・長岡裕也)
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