2008年10月19日 (日)

【梅田望夫観戦記】 (10) 記録係・中村太地四段の目

 ▲7五歩の局面で昼食休憩に入った。

 記録係の中村太地四段が、控え室に戻ってきた。

 彼は、控え室の検討情報からは遮断された対局室で、ひとり対局者とともに読み続けていた。

 そこで控え室に戻ってきた瞬間に、彼に話してもらうことにした。

 黒子役の記録係に、対局途中の感想を尋ねるのは無理筋なのだが、中村四段は米長会長のお弟子さんであり、ブログ公開を前提に、以下のようなやり取りの中で、中村四段は現在の形勢判断についてこう語った。

 米長「記録係の中村太地は、ここまで先輩たちの指し手に対し沈黙を貫いていたが、師匠の米長邦雄会長がどうしても喋れと言うので、師匠の命を受けて従わざるをえなかった。というわけで、形勢と、自分ならどっちを持ちたいかを喋りなさい」

 中村「僕、今、羽生先生のほうを持ちたいですけどね。理由ですか? うーん……。△6四角がいい手だと思ったので。(予想していたかという問いに) 候補手の一つとしては予想していたのですが、△6四銀とあがるほうが一般的かと思っていたもので。でも、その後、竜王は88分くらい考えていましたからね。竜王は△6四角を軽視していたのではないかと思います。」

 米長「では次は、ここからの、中村太地の次の一手を!」

 中村「自然なのは△4六馬ですけど。それか△6七歩を打つのか、△8六歩とつきすてるのか、その3つですかね、おそらく。」

 中村「あと、竜王の▲2三角が意外でした。▲3五歩とつくのかなと思っていました。」

 米長「いいじゃないですか!『中村太地は近い将来、必ずタイトル戦に出るであろう。師匠の米長は確信した』と書いておいてください。麗しい師弟愛だね~」

 

 

 追記。午後再開後の一手は、△6七歩でした。▲同金直に△8六歩という、中村四段の指摘通りに推移しました。

 

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対局前日の駒選び、対局場検分の日に。