第1図は53手目▲8六歩まで。
この数手前に打たれた△5四角が絶好の位置で、「ここでは自信がなかったです」と渡辺竜王。しかし、佐藤二冠は1日目の時点で局面に不満があったようです。封じ手の局面を検討しているときに「マイナスの手しかないと思った」とまで語っていました。
ここで△6五歩▲同歩△同桂が両対局者の気付かなかった手順。以下▲6七金には△4五桂▲同歩△3三銀▲3五歩△3四銀▲同歩に△6四角が藤井九段指摘の好手(参考図)。
▲6四歩などの嫌味を消しつつ、
▲6六歩には△5六歩を狙って味のいい攻防手です。「大変ですね」と渡辺竜王。
プロの感覚では穴熊を攻めるために桂馬を8・9筋に使いたいので、
△6五歩▲同歩△同桂の筋は盲点になるようです。
△6五同桂の攻めは将棋連盟の職員の方が発見した手だったそうで
「プロは考えにくい。アマチュア的」という両対局者。
しかし、検討を進めてみると「▲8六歩と突いちゃったので、(△6五同桂の筋は)理に適っていますね。見えないですね」と感心していました。
この後は少しずつ渡辺竜王がリードし、73手目▲7五歩が決め手。
「あっち(8七)に使うのを全然うっかりしていました」と佐藤二冠。
ここからは検討することなく、スラスラと手順を並べるだけでした。
(銀杏)