名人の辛抱
戦いが始まり、永瀬王座がじりじりと態勢を整えています。穴熊は堅い囲いですが、金銀が偏ることが弱み。永瀬王座は△6四角(68手目)から△3三桂(74手目)と、角と桂のコンビネーションで手薄な方面に狙いをつけました。次に△2五桂▲同桂△1九角成と飛車を目標にする順があり、先手としてはやっかいです。渡辺名人はなんと▲2六歩(75手目)と辛抱しました。
囲いの補修なら歩を打つのは自然ですが、2筋は先手にとって攻撃陣。飛車も使えなくなるので部分的には相当につらい手です。
(文)
戦いが始まり、永瀬王座がじりじりと態勢を整えています。穴熊は堅い囲いですが、金銀が偏ることが弱み。永瀬王座は△6四角(68手目)から△3三桂(74手目)と、角と桂のコンビネーションで手薄な方面に狙いをつけました。次に△2五桂▲同桂△1九角成と飛車を目標にする順があり、先手としてはやっかいです。渡辺名人はなんと▲2六歩(75手目)と辛抱しました。
囲いの補修なら歩を打つのは自然ですが、2筋は先手にとって攻撃陣。飛車も使えなくなるので部分的には相当につらい手です。
(文)

渡辺名人の持久戦志向に永瀬王座が歩調を合わせ、じっくりした展開になりました。永瀬王座の△2四歩(48手目)は弱点を突くだけにぎょっとしますが、次に△2三金と上がって補強する用意で、その有効性が知られつつあります。実戦は▲8八玉△2三金▲6九銀△3二玉▲6八銀上と進みました。

金銀4枚の囲いは以前の矢倉ではよく見られましたが、近年では珍しくなりました。さらに▲9八香~▲9九玉と穴熊に組み替えて堅さを追求する順があり、バランスよく構えている後手とは対照的です。平成の目では玉が堅いほど実戦的に勝ちやすいのですが、令和では玉の薄さを読みの力でカバーし、攻撃に戦力を回す考え方が主流になりました。本局は挑戦権争いだけでなく、時代によって移り変わってきた思想の戦いでもあります。
(文)