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2023年6月 5日 (月)

対局前最終インタビュー/藤井棋聖

Dsc_2929(藤井聡太棋聖)

――検分を終えての心境は。
藤井 明日から対局ということで、徐々に緊張感が高まっています。

――ベトナムに着いて初めて将棋盤の前に座った。
藤井 素晴らしい対局室を用意していただいて、対局に関しては普段と同じように臨めそうだなと思います。

――名人戦では名人獲得と七冠の最年少記録をつくった。そこから初めての公式戦になる。
藤井 先週の第5局で名人を獲得することができ、自分としても非常にいい形でこちらに来ることができたと思っているんですけども、同時に名人ということで一層の責任もあるのかなと感じているので、明日からいい将棋を指したいという気持ちが一番強いです。

――ベトナムに入っての印象と、体調については。
藤井 だいぶ暑いなというのは感じたんですけども、体調としてはまったくここまで幸い問題なくという感じです。

――改めて第1局に向けての抱負を。
藤井 佐々木七段はここまでの内容も充実されていて、強い相手かなと思っています。自分自身も全力を尽くして熱戦にできるように頑張りたいと思います。

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(牛蒡)

2023年6月 4日 (日)

検分

16時から検分が行われました。対局室は21階。洋室ですが、畳を敷いて対局室としました。盤や駒はホテル三日月が所有しているもので、過去の棋聖戦でも使われています。

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Dsc_2860(室温や照明に問題がないか、小林健九段が対局者に尋ねる。右は西尾明七段)

Dsc_2882(海側の窓のカーテンを開けた状態と……)

Dsc_2875(……閉じた状態で照明の具合を確認した)

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(牛蒡)

ジャパンフェス

ダナン三日月では6月2日から4日にかけて、アニメやコスプレを主とした日本のカルチャーイベント「Nippon Ơi」が開催されています。木村九段、加藤桃女流三段、野原女流初段がゲスト出演しました。東京の代々木公園で開催されていた「ベトナムフェスティバル2023」と中継がつながれ、木村九段らは第1局の見どころやダナンの魅力を伝えました。

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Dsc_2565(物販ブースの一部)

Dsc_2552(メインステージ。この時間はアニメ「推しの子」のパフォーマンスが行われていた)

Dsc_2500(「チェンソーマン」のコスプレをしていた方の写真を撮らせてもらった)

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Dsc_2661(いよいよ登壇。代々木と中継をつなぐ)

Dsc_2684(木村九段=中央と加藤桃女流三段=左)

Dsc_2700(左は野原女流初段)

Dsc_2728(ホテル敷地内には、ほかにも多くの参加者がいた)

(牛蒡)

ホテルで前日取材

対局者はビーチからカードでホテルに移動し、前日取材を受けました。

藤井棋聖はベトナムについて、「昨日からそんなに外には出ていなかったんですけど、ベトナム料理のバインミーやフォーをいただくことができてとてもおいしかったですし、先ほど浜で撮影もしたんですけど、リゾートの雰囲気を感じることができたかなと思います」と話しました。

佐々木七段は「日中はとても暑かったんですけど、夜になると風もあって、とても過ごしやすい気候なのかなと思いました」とのこと。師弟共有のツイッターアカウントで「ダナン三日月すごい!めっちゃテンション上がってます」とつぶやいていましたが、「部屋から見る景色もとてもいいです」とのことです。

Dsc_2387(再びカートに乗ってホテルに戻る)

Dsc_2430(ホテル前で取材を受けた)

Dsc_2448(ホテル4階のテラスに将棋堂がある)

Dsc_1773(「王将」は佐藤康光九段が揮毫。ダナン三日月は令和4年6月に営業を開始した)

(牛蒡)

ダナンのビーチへ2

ビーチには、ホテル三日月のレストラン・バー「NAMI Beach Club」があります。対局者は少し立ち寄り、体を休めました。

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Dsc_2306(バックにホテル三日月)

Dsc_2316(カメラマンの「リラックスして」の声に笑ってしまう二人)

Dsc_2332(対局者を気遣い、立会人がパラソルを広げるも、藤井棋聖まで影は届かず)

(牛蒡)

ダナンのビーチへ1

対局者は4日午後、ホテル三日月のすぐ前にあるビーチで記念撮影をしました。

Dsc_2082(強い日差しを避けるため、ホテルからカートでビーチに向かう)

Dsc_2110_2(すぐに到着)

Dsc_2145(南北に約10kmのロングビーチ。向こうにダナンの中心街が見える)

Dsc_2150(革靴でビーチを歩く)

Dsc_2251(あらためてツーショットで)

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Dsc_2287(牛蒡)

小林健二九段が語る東南アジアの将棋普及

本局の立会人で日本将棋連盟の東南アジア地区将棋大使も務める小林健二九段に、東南アジアの将棋普及やベトナム対局の開催について話を聞きました。


東南アジアにはこれまでに100回以上行っています。シンガポールは50回くらい、マレーシアは30~40回、バンコクは30回くらい、香港も40~50回、広州が4回くらい、北京と上海が10回くらい、ヤンゴンが5~6回、ベトナムは1回。一番長いときでシンガポール、マレーシア、バンコク、香港と行ったときは2週間くらいいました。あまり長いときついので、基本的には2か所くらいで1週間くらいの滞在にしています。最初は全部ボランティアでやっていたんですが、それを各地の支部長さんも知っているので、日本将棋連盟に嘆願書のようなものを出していただいて、2005年から10年くらいのとき、米長邦雄会長の時代だったと思いますが、「この肩書を与えるからもっと活動しなさい」と、東南アジア地区将棋大使に任命されました。

最初のきっかけは花粉症なんですよ。1975年に18歳で四段になって、20歳頃ですかね、3月から4月になると熱が出ないんだけども、鼻水は出るわ、くしゃみは出るわ、だるくなるわで、風邪だと思ったら花粉症だったんです。ちょうど中原誠名人も花粉症で名人戦の前にハワイに行っていて、知り合いから外国にいるととても楽になるというのを聞いたんですね。ペーペーの四段では海外には行けませんから、A級八段になったら行こうと決めていました。ただ海外に行くのではつまらないから、外国に将棋を普及しようと思い、知人を頼りに香港支部に行くようになりました。30歳くらい、1990年代に入ってからのことですね。

それから香港の支部長さんの紹介でシンガポールに行くようになって、シンガポールにも支部ができました。この頃から毎年4月くらいに行っていたのが年1回では収まらなくなって、秋にも行くようになりましたね。あるときシンガポール支部の方が「小林先生、今度クアラルンプールに行くので来てくれませんか」。それをきっかけにマレーシアにも支部ができました。するとマレーシアの会員の方に「今度ヤンゴンに転勤になりました。来てくれませんか」と。それでミャンマーにも行きました。指導をするときは、僕が日本人の方に将棋を教えるから、その方は現地の方に将棋を教えてくださいということをお願いしていました。

名鉄観光の会長が僕のことをかわいがってくれまして、「応援してあげるからアジア大会を開きなさい」といわれて、アジア支部対抗戦を開くようになりました。シンガポール、マレーシア、バンコク、香港と順番に場所を変えながら年に1回。第1回のシンガポールは僕と佐藤康光さんで、翌年は森けい二さんを呼んで。2019年にバンコクで開催したときは、私と大野八一雄さん、高田尚平さん、北尾まどかさんの4人で行きました。そのときにベトナムからは4~5人の方が来ていたと思います。次回はベトナムでやりましょう、といっていたところにコロナになってしまったんですが、今年になって棋聖戦が開催できました。このように、いろいろとネットワークが広がって今に至るということです。

ベトナム対局は本当にありがたいお話をいただきました。アジアではシャンチーやチャンギをやっている国もありますが、将棋をやっている皆さんは「日本の将棋が一番難しくて面白い」といいます。日本の将棋を見ていただける大きなチャンスなので、世界に知っていただきたい。私も普及でやりたいことがまだいろいろとあります。藤井聡太さんにおんぶに抱っこではいけません。今回のベトナム対局を生かすように活動を続けていきたいと思っています。

今回の立会人を引き受けた時点で思ったのは、両対局者が今までと同じ環境で対局できるかどうかです。2時間とはいえ時差があるので、体調が心配ですね。特に藤井さんは岩手、長野と対局が続いてこのベトナムですから。お二人が普段通りに対局できるように徹したいと思います。

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(小林健二九段=3日にハン川で。撮影=牛蒡)

(文)

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