対局者の決意表明です。その後、藤田女流初段によるインタビューもありました。
■羽生棋聖の決意表明
このように盛大に暖かく開催してくださり、まことにありがとうございます。沼津に来るのは昨年に続いて2回目になります。先ほど沼津倶楽部で検分しました。落ち着いた佇まい、立派なお庭のあるところで対局するのに素晴らしい、いい場所と思います。対局に当たりまして、設営くださっている関係者に厚く御礼申し上げます。
いろんな場所でタイトル戦の前夜祭が行われていますが、これだけの規模で行われたのは私も記憶にないほどです。沼津の皆さまの情熱や力を感じました。明日からの対局は、皆さまに歓迎してくださりましたので喜んでもらえるような面白い将棋が指せるように、力いっぱい尽くしたいと思います。
■森内竜王の決意表明
本日はこのような盛大な前夜祭を開いてくださりありがとうございます。私も前夜祭に数多く出ていますが、これだけの方が来られるのはないので感激しています。静岡県は将棋が盛んで数多く訪れていますが、沼津はいままで機会がなかったので、今回訪れることができてうれしく思います。先ほど対局が行われる対局場の検分にうかがいましたが、歴史のある素晴らしい場所で対局できることを誇りに思います。
シリーズは2連敗と厳しい出だしになりましたが、聞くところによりますと、昨年は挑戦者の渡辺明二冠が1勝を返して反撃したとのことで、私も頑張ってなんとか第4局の場所へたどり着けるように全力を尽くしたいと思います。明日も大盤解説会場へお越しくださるとうれしいです。
■藤田女流初段が羽生棋聖にインタビュー
――羽生棋聖は沼津は2回目だそうですね。
羽生「静岡県はよく来ていますが、沼津市は2回目です。それほど観光はしていませんが、景色が素晴らしく、食べ物がおいしい場所ですね」
――前夜祭には多くの方に来ていただきました。皆さん座っての形式の前夜祭は珍しいですよね。
羽生「そうですね。立食形式が多いので席に座っての形式はまれかもしれませんね」
――ブールミッシュがおやつのスポンサーになっています。
羽生「嫌いなものはないのでなんでも食べます。お菓子は非常に楽しみにしています」
――羽生先生は休みの日は何をされていますか。
「休みの日はぼーっとしています。趣味は特にないのですが、散歩したり一番はぼんやりすることです」
――先ほど決意表明で立派な庭園があってとおっしゃっていましたが、沼津倶楽部はすばらしいところですよね。
羽生「昔からあるお屋敷のところですし、快適な雰囲気もありますし、落ち着いて対局できる場所だと思います」
――ファンの方にメッセージをお願いします。
羽生「たくさんの方にお越しくださりありがとうございます。明日はどうぞよろしくお願いします」
■藤田女流初段が森内竜王にインタビュー
――沼津の印象はいかがですか。
森内「まだ沼津倶楽部しか訪れていませんが、景色が素晴らしく、いい環境です」
――森内竜王といえば、カレーが記事になったこともありましたが、一番好きなのでしょうか。
森内「いろいろ食べますけど、去年タイトル戦でたまたまカレーを食べ続けていたら、一番好きということになったのですけど。明日はわかりませんが、沼津のカレーも楽しみにしています」
――棋聖戦はブールミッシュさんがスポンサーになっています。
森内「私は甘いものが好きでして、あるといくらでも食べてしまうのですが、対局中は自分のペースでいただこうと思っています」
――普段の対局でもおやつを食べられるのですか。
森内「昔はおやつが将棋会館の対局でも出た時代がありましたが、いまは出ませんので普段は食べません。タイトル戦でしか食べませんので明日は楽しみですね」
――羽生棋聖と同じ質問ですが、休みの日は何をされていますか。
森内「のんびりしています。本屋さんが好きなので本屋めぐりをしています。藤田さんはいかがですか」
藤田「私は映画観賞をしています。まさか私に来ると思わずビックリしました」
――340人の方が駆けつけてくださったということで、メッセージをお願いします。
森内「これだけ多くの方にお集まりいただいて、ビックリするとともにうれしく思います。期待が高いことが分かりましたので、期待にこたえられるように頑張ります」
沼津リバーサイドホテルで前夜祭が行われました。参加者は340人でコース料理付です。「これだけの規模の前夜祭は記憶にない」と関係者。盛大な前夜祭でした。
「340人の方々にご参加くださり、主催者側として御礼申し上げます」
(主催者あいさつ 藤浦淳 産経新聞社大阪本社編集局文化部長)
「第85期棋聖戦ですが、羽生棋聖と森内竜王が横綱対決にふさわしい熱戦を続いています。第1局は淡路島で行われましたが、そのときに将棋連盟の谷川浩司会長が30手もしないうちに『前例のない将棋になっています』と言わしめるような対局が指されました」
「このようなすごい前夜祭は、私はタイトル戦にかかわって数十年になりますが、十数年前の宇部の名人戦で1回見ただけです。これだけの人数がよく集まったなと思います。棋聖戦の、そして沼津の力があるのかと静岡出身の棋士としてうれしい限りです」
「羽生棋聖と森内竜王がそろっていらっしゃることは大変名誉なことで感謝申し上げます。沼津は大正天皇の健康と養育のために御用邸が造営されました。その前後に明治の元勲や財界の皆さんが別荘を立てて、いわばリゾートの街でした。沼津は避寒地、寒さを避けるところでした。棋聖戦が行われる沼津倶楽部もその一つでした」
15時50分ごろから検分が行われました。使用する盤や駒は日本将棋連盟所蔵のものです。特に問題はなく、数分で終了しました。
ちなみに前期第3局も同じ部屋が使われましたが、今回は記録机の位置が窓側に変更されました。ニコニコ生放送のカメラは、廊下側から窓側を映す位置に置かれています。明日の放送では、緑豊かな庭園を背景に対局する姿が見られるはずです。
対局者と開催実行委員会関係者の記念撮影が行われました。写真は左から森内竜王、林茂樹委員長、羽生棋聖、宇野統彦副委員長。林委員長と宇野委員長は社団法人沼津倶楽部の理事長と副理事長でもあります。