△2八歩~△2九歩成~△2八とと着実な攻めを見せた後手に対して、豊島七段は▲6四歩(左図)と垂らしました。この手は次に▲6三銀が厳しい狙いで、△6四同飛には▲2四歩△同金を利かしてから▲5五銀がうるさい攻め。この手が指されて、控室では「差が詰まった印象」と言われ、検討の変化の中では、先手良しとなるものも見られるようになりました。
▲6四歩に対して、佐藤八段は長考して△8四香と設置。▲7八金の受けにさらに△8五香打と重ねて▲9六銀と受けさせることに成功します。銀を使ってしまった先手は▲6三銀や▲5五銀の筋を失なってしまいました。そこで△6四飛(右図)と歩を払って後手好調な流れですが、まだ簡単ではなく、ひところに比べると先手が差を縮めているのは間違いないようです。
控室では「(58手目)△2八歩以下、格調高く着実に迫った手は、ここまで進んでみると少し甘かったかもしれない」と言われています。
図は15時過ぎの局面。
控室で検討が進んだ結果、いまのところ先手に思わしい手が見つかっていません。
当初は角成に▲3四銀で先手有望と見られていましたが、△同銀▲1一角成に、じっと△3五歩(参考図)と受ける渋い好手を伊藤真五段が発見しました。
参考図以下、先手は攻め合いを目指すしかありませんが、▲6四香△9二飛▲2一馬△2九馬▲4六桂△3八馬▲3四桂に△3三銀(参考2図)が一例で後手良し。▲3四銀の変化がうまくいかないため、代えて▲3四歩など他の手段も検討されましたが、いずれも先手が思わしくありません。
「先手は次に△2九馬が来たら終わりですから忙しいのですが、思わしい手が見つかりません。継ぎ盤で先手側を持つと、かなり苦しさを感じます」(伊藤真五段)
(八雲)