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2015年4月30日 (木)

形勢逆転

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図は19時頃の局面。
次の▲6一歩成が詰めろになるため、後手が攻め合いで勝つには詰めろの連続で先手に迫る必要があります。しかし、検討陣は「詰めろは続かない」と結論しました。となると、6二の歩を取るか、飛車を逃げるしかありませんが、ここで先手に手番を渡すようでは苦しいと言われています。
後手良しから、差が詰まり、形勢不明と推移してきた本局は、夜戦に入ってついに先手に形勢が傾き始めました。

Img_6579豊島七段が苦しい将棋を辛抱して逆転に成功した。

(八雲)

形勢不明

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図は18時20分頃の局面。
「流れとしては先手が良くなっていてもおかしくありませんが、冷静に見ると5九飛が働いていないなどマイナス要因もあるので、まだ逆転には至っていないかと思います。形勢不明ですね」(深浦九段)

Img_663818時40分過ぎ、控室に加藤一二三九段が来訪。
3分ほど猛烈なペースで検討し「では、仕事があるのでこのへんで」と風のように退室した。

(八雲)

揺れる形勢

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△2八歩~△2九歩成~△2八とと着実な攻めを見せた後手に対して、豊島七段は▲6四歩(左図)と垂らしました。この手は次に▲6三銀が厳しい狙いで、△6四同飛には▲2四歩△同金を利かしてから▲5五銀がうるさい攻め。この手が指されて、控室では「差が詰まった印象」と言われ、検討の変化の中では、先手良しとなるものも見られるようになりました。

▲6四歩に対して、佐藤八段は長考して△8四香と設置。▲7八金の受けにさらに△8五香打と重ねて▲9六銀と受けさせることに成功します。銀を使ってしまった先手は▲6三銀や▲5五銀の筋を失なってしまいました。そこで△6四飛(右図)と歩を払って後手好調な流れですが、まだ簡単ではなく、ひところに比べると先手が差を縮めているのは間違いないようです。
控室では「(58手目)△2八歩以下、格調高く着実に迫った手は、ここまで進んでみると少し甘かったかもしれない」と言われています。

Img_663617時45分頃、控室には青野照市九段が来訪している。

(八雲)

着実な一手

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図は16時50分頃の局面。局面が一段落して後手の指し手が注目されていたところで、佐藤八段は△2八歩と着実な路線を選択しています。

Img_6632控室には深浦康市九段が来訪した。

Img_6634現局面は「後手を持ってみたい」とのこと。

(八雲)

検討陣は後手持ち

48図は16時25分頃の局面。
控室に来訪した遠山雄亮五段に見解を聞きました。
「先手の豊島さんが趣向を凝らした本局ですが、ここまで進んでみるとあまりうまくいっていない印象です。大きな差というわけではありませんが、先手の8八の角が悪い残り方をしているので私は後手を持ってみたいです」(遠山五段)

Img_662916時20分過ぎの控室。窪田六段と遠山五段が継ぎ盤を挟んでいる。

(八雲)

将棋会館売店から

将棋会館1階の売店から新商品などを紹介いたします。

Img_6530まずは、両者の著書。勢いに乗る両者が勝利の秘密を解説しています。

Img_6532"観る将棋ファン"のための将棋ガイドブック。佐藤天八段のインタビューも掲載。

Img_6531こちらは新商品、糸谷哲郎竜王のイラストハンドタオル。

(八雲)

先手難しい局面

図は15時過ぎの局面。
控室で検討が進んだ結果、いまのところ先手に思わしい手が見つかっていません。

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当初は角成に▲3四銀で先手有望と見られていましたが、△同銀▲1一角成に、じっと△3五歩(参考図)と受ける渋い好手を伊藤真五段が発見しました。

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参考図以下、先手は攻め合いを目指すしかありませんが、▲6四香△9二飛▲2一馬△2九馬▲4六桂△3八馬▲3四桂に△3三銀(参考2図)が一例で後手良し。▲3四銀の変化がうまくいかないため、代えて▲3四歩など他の手段も検討されましたが、いずれも先手が思わしくありません。
「先手は次に△2九馬が来たら終わりですから忙しいのですが、思わしい手が見つかりません。継ぎ盤で先手側を持つと、かなり苦しさを感じます」(伊藤真五段)

Img_6602佐藤八段が、鋭い踏み込みで先手を追い込んでいる。

(八雲)

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