藤井聡太棋聖(七冠)に山崎隆之八段が挑戦するヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負は、藤井棋聖の2連勝で第3局を迎えました。このまま藤井棋聖が3連勝で防衛を果たし、永世称号を獲得するのか、山崎八段が1勝を返して第4局につなげるか。
対局は7月1日(月)に愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」で指されます。持ち時間は各4時間で、先手は山崎八段。対局開始は9時。立会人は久保利明九段、副立会人は松尾歩八段、記録係は清水航三段(伊藤博文七段門下)が務めます。
【主催:産経新聞社】
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【特別協賛:ヒューリック株式会社】
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【第3局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/95/kisei202407010101.html
インターネット中継は棋譜コメント入力を文、ブログを武蔵が担当します。よろしくお願いします。
(武蔵)
【勝った藤井聡太棋聖】
――本局を振り返ってください。立ち上がりはいかがでしたか?
藤井 かなり早い段階で予想していない展開になって。一手一手難しかったです。
――午前中は駒組みが進んでいましたが、山崎八段が△4五桂(38手目)と跳ねました。そのあたりはいかがですか?
藤井 ▲3七桂(21手目)と跳ねたのがタイミング的に早くて。本譜のように進むと先手番としてはあまり主張が作れていないのかなという気がしていました。△4五桂とぶつけられて後手陣が手厚くなってくると自信がない気がしたので、こちらが動いていけるかどうかといった感じになったのかなと思いました。
――山崎八段の△5三桂(44手目)に対して、藤井棋聖は▲3五歩(45手目)と突きました。控室では機敏な一手ではないかと見られていました。
藤井 押さえ込まれてしまうと自信がないので、こちらの玉の堅さを主張できるうちに仕掛けていきたいと考えていました。
――その後はいかがでしたか。
藤井 実戦的にやり過ぎている感じもしたのですが、玉の堅さを生かして攻めをつなげられればというふうに考えていました。▲5五桂(65手目)で攻め合いになったのですが、いきなり激しくなったので、どう見るべきか難しいのかなと思っていました。
――激しくなっていけると判断されたのはどのあたりですか。
藤井 わかっていなかったのですが、▲6四角成(83手目)~▲5三銀(85手目)と押さえていって、後手の攻めが止まっていそうな形になったかなと思っていました。
――一局を総合的に振り返って。
藤井 序盤は少し課題が残るわかれだったのかなと思いますが、中盤以降はなんとか攻めをつなげていくことができました。
――開幕連勝で永世棋聖の有資格となる5連覇まであと1勝としました。
藤井 シリーズ中はあまり意識せずにと思っていますし、第3局は後手番になるので、よりしっかり準備しなくてはいけないのかなと思っています。2週間弱開くので、しっかりと状態を整えて臨みたいと思います。
【敗れた山崎隆之八段】
――本局を振り返ってください。立ち上がりはいかがでしたか。
山崎 後手番ということで前日までずっと悩んでいたのですが。向かい飛車ではないのですが、似た形を指したことがあって、それを工夫したらどうなるのかなと思って何局か練習して。なにが通用するかわからなかったので採用してみました。後手番なので序盤戦はじっとしておく想定だったのですが、昔は桂を跳ねたような気がして。思い出して桂を跳ねたのですが、関連性が……。玉を守る手を指しておけばよかったのですが、組み合わせが予定と違って。千日手狙いになってしまうので行きたくなってしまったのですが、玉が薄いまま攻めてしまったので、藤井棋聖にとがめられたかなと。攻めていく気なら△6二金や△8四歩などがもっと価値の高い手になるので、いい勝負になったかもしれませんが。そのあとまとめ方が難しくて、対局中にこう指しておけばまだ苦しいながらもという順がありましたし、後悔をしながら指していました。なんとか耐えようと思っていたのですが、▲3五歩(45手目)と突かれて。桂を跳ねて攻めたのですが、受け身になってしまって。もっといい耐え方があったかなと。序盤戦がすごくもったいなかったかなと思います。
――▲3五歩のあたりはいかがですか。
山崎 私の力不足で、先攻されてからは苦しいと思っていました。どれがいちばんチャンスがあるかなと思いながら指していたのですが。長引かせるだけではチャンスはないのかなと思って切り合いにいったのですが、1手ずっと足りないなという感じで指していました。
――本局に敗れて連敗になってしまいました。
山崎 模様を取ってはいるのですが、まとめきれないのは自分の実力でもあるし、しっかりとがめられています。藤井棋聖の強さを感じるところでもありますね。序盤、中盤の精度をもっと上げていかないと、チャンスのある局面をなかなか作り出せないなと感じています。
――第3局は先手番になります。
山崎 追い詰められてはいますが、先手番ということでよりしっかりと準備をして、やってみたい作戦を考えます。その中で自分自身がまだまとめきれていないので、3局目はまとめきってよりいい将棋にしたいと思います。
(琵琶)
図の局面で山崎八段が投了しました。終局時刻は18時39分。消費時間は▲藤井3時間36分、△山崎3時間59分。シリーズ成績は藤井棋聖の2勝0敗になり、5連覇と永世棋聖獲得に向けてあと1勝としました。第3局は7月1日(月)愛知県名古屋市中区「亀岳林 万松寺」で行われます。
(紋蛇)
山崎八段は残り6分まで考えて△5八飛(図)と打ちました。対して藤井棋聖はどう決めるのでしょうか。梶浦七段は「私なら▲6三歩成△同銀▲同と△同玉に▲6四銀と打ちたいです。以下△5二玉には▲6三角~▲4五角成とするか、単に▲4四桂もありますか。こういったところでの決め方は大事ですよね」と語っています。
(琵琶)