カテゴリ

2023年6月 5日 (月)

大盤会場へ

感想戦の前に大盤会場へ移動。本局を振り返りました。

Dsc_5055 

Dsc_5013 

Dsc_5049 

Dsc_5071
(牛蒡)

終局直後

Dsc_4974(初戦を制した藤井聡太棋聖)

――序盤について。
藤井 前例のある形なので少し速めに進めていたところはありました。

――どのあたりまで研究していたか。
藤井 ▲4五歩(59手目)のところで手が広いかなと思っていました。

――▲6二金(67手目)は1時間8分の長考で指した。
藤井 △4四桂(66手目)に▲3六銀△同桂▲同金△3三桂で飛車を取れる形なんですけど、上部が抜けてしまって(後手玉が)捕まらないかなと思ったので。本譜は予定変更でした。

――▲5二と(85手目)から▲6七銀(89手目)のあたりの意図について。
藤井 △4五角(84手目)の局面で考えていて、▲3六歩△6七金に玉をかわすというのが、もちろん第一感だったのですが、その先の変化がどうなっているのか分からなかったので。本譜は何というか、粘りにいっているような手順なので成算がないまま指していました。

――どこで成算を持ったか。
藤井 ▲8二飛(99手目)のあたりで駒得が見込める形で、指しやすくなったと思いました。

――本局全体について。
藤井 お互いの玉が極めて不安定な形で戦いが続いて、距離感を測るのが難しい将棋だったかなと思います。

――第2局に向けて。
藤井 第2局以降は先後が決まっての対局になるので、しっかり準備をして、いい状態で臨めればと思います。

――ベトナム、ダナンでの対局について。
藤井 自分にとって初めての海外対局で、こちらに来る前はどんな感じなのかなと思っていたのですが、実際に来てみると、素晴らしい環境を用意していただいていて、気持ちよく対局できたかなと感じています。

Dsc_4986(佐々木大地七段のタイトル戦は黒星スタートになった)

――序盤の研究について。
佐々木 そんなに深い研究ではなくて、お互い手が広いという認識でした。手探りで進めていました。

――△4四桂(66手目)は長考して指した。
佐々木 飛車が狭い形で、玉も不安定で忙しいので、バランスをどう取ればいいか難しかったです。実際に指してみると嫌みが多く、急所が見えなかったです。

――時間配分について。
佐々木 互角を保っていくのが難しくて、時間を多めに使ってしまったというのはあります。終盤で一瞬、難しいかなと思う局面もあったんですけど、そこですぐに悪手を指した気がします。そのあたりを含めて課題が多いと思います。

――本局全体について。
佐々木 大局観だったり形勢判断の部分だったり、局面の急所が見えていなかったと思うので、ちょっと力不足を感じる内容でした。

――初めてのタイトル戦、その第1局だった。
佐々木 和服を着て、新鮮な気持ちで戦えたと思います。ただ、慎重になりすぎる部分も多かったかなというところで大舞台の難しさを感じました。

――第2局に向けて。
佐々木 厳しいスタートになってしまいましたが、番勝負ということで、気持ちを切り替えて万全の準備をして戦えるようにしたいと思います。

――ベトナム、ダナンでの対局について。
佐々木 近年は海外対局がなかったので、このタイミングで対局できてうれしいですし、充実したスタッフの方々の対応だったり食事だったり、(おかげで)集中して対局できたと思います。

Dsc_4994 

Dsc_4981
(牛蒡)

藤井棋聖が開幕局制す

Kisei202306050101113

五番勝負第1局は藤井棋聖が勝ちました。終局は18時56分。消費時間は▲藤井棋聖3時間49分、△佐々木七段3時間59分。海外対局を制した藤井棋聖の先勝です。

(文)

意表の順

230605084_21図は△3八飛成▲同銀△6七金以下の詰めろがかかっていたため、▲3六歩が予想されていました。しかし、藤井九段が選んだのは▲5二と△同銀▲同金△同玉▲6七銀(2図)。△6七金だけは絶対に打たせないという順ですが、攻め駒2枚を盤上から失うので意外です。先手を取る受けでもありません。「受けて勝とうということですが、これは浮かびません」と小林健二九段。

230605089_3Dsc_4741 
(牛蒡)

藤井棋聖、連続長考

230605084△5七歩成▲同歩△4五角で図の局面。▲5七同歩の考慮時間は37分、図も局面でも藤井棋聖は手を止めています。形勢がよくなってからのほうが時間をかけています。実に慎重です。「ここまできたら逃したくない。しっかり勝ちたいということですね。佐々木さんも正確にやられたら勝てないと思っているはずです」と小林健九段。

Dsc_4934(18時5分、沈む夕日)

(牛蒡)

先手よし

230605081佐々木七段は80手目に△3五飛を選択。藤井棋聖はすぐに▲5八歩を指し、そこで佐々木七段がまた考えています。思わしい手がありません。「△3五飛で差が開いたと思います。でも苦しんで指したから仕方ない」と鈴木九段。一方、藤井棋聖は67手目▲6七金で1時間超えの長考をして以降、あまり時間を使わずに指しています。読み筋通りに進んでいるのだと思われます。形勢は先手よしです。

Dsc_4763(気づけば藤井棋聖がよくなっていた)

(牛蒡)

さらに残り30分を切る

230605079_279手目▲7八玉の局面で、佐々木七段は40分以上考え、残り30分を切りました。深浦九段は「いい寄せが見えなくて苦しんでいる」とABEMAで解説。先手ペースと話しています。

次に▲5八歩が入ると先手陣はしっかりします。後手は攻めていきたいのですが、図から△5七角▲7八玉△7六歩▲同銀△6六角成▲7七歩△5七歩成▲5二金△3三玉▲5三とは先手が勝ちそうです。「容易に崩れないのが持ち味」と自他ともに認める佐々木七段。少し苦しい局面こそ真価を問われます。

Dsc_4683
(牛蒡)

=== Copyright (C) 2009 >>> The Sankei Shimbun & Japan Shogi Association === All Rights Reserved. ===