―—お疲れさまでした。一局を振り返っていかがでしょうか。
藤井七段 途中苦しくしてしまったとは思いますが、勝負勝負と迫っていったのがよかったのだと思います。
―—タイトル戦初出場で、初勝利を挙げられました。いまのお気持ちはいかがでしょうか。
藤井七段 まず1勝できたことはよかったです。五番勝負ということで、またしっかりと準備を整えて次の対局に臨みたいです。
―—渡辺棋聖、お疲れさまでした。本局を振り返っていかがでしょうか。
渡辺棋聖 (開幕局ということで)振り駒なので、作戦はちょっと絞り切れないところがありました。終盤はいろいろあって、ちょっとわからなかったです。
―—第2局に向けての意気込みをお願いします。
渡辺棋聖 月末で間隔が空きますし、2局目からは手番も決まっているので、より準備を整えて臨みたいです。
(康太)
157手で藤井七段が勝ちました。終局時刻は19時44分。消費時間は、▲藤井3時間59分、△渡辺3時間59分。藤井七段がタイトル初挑戦で好発進を決めました。第2局は6月28日(日)東京都渋谷区「東京・将棋会館」で行われます。
(吟)
藤井七段の寄せは決まっていたようで、後手玉は一手一手の状況に陥りました。受けのなくなった渡辺棋聖は豊富な持ち駒を生かし、先手玉を詰ましにかかっています。あとは先手玉に詰みがあるかどうかの勝負。いずれにしても終局が近いのは間違いありません。
(康太)
19時を回り、藤井七段は馬を捨てて寄せに向かいました。しかし攻め駒が少なく、果たしてこれで寄るのかどうか。控室では明快な手順が見つかっていません。
(康太)
1図は直前の△5七歩を▲同角と取った局面。後手の1筋が危ういようですが、ここで渡辺棋聖は△4六金!(2図)の奇手で切り返します。
飛車角両取り。控室では「あれ?」「急に後手がよくなったような」「うっかりか」といった声が挙がります。藤井七段は▲1三飛成と突っ込み、△同玉▲4六角△2二玉▲1四桂(3図)と進行。先手が攻勢を維持していますが、△3一玉と逃げたあと、後手も△8六香からの反撃が楽しみです。「どっちがうまくやったの、これ。けど先手の戦力が足りないか?」と勝又七段。深浦九段も「さすがに(△4六金を)うっかりしたのだと思いますが……」と、後手が逆転したという見解を示しています。
(康太)