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2024年6月16日 (日)

前夜祭(1)

Dsc_6803(井崎規之・新潟市副市長)
「おふたりが熱い戦いを繰り広げられることを期待しております。そして、私を含めて世間では、お二方がお昼に何を召し上がるのか、おやつは何を選ばれるのかについても注目が集まっています。 今回、新潟市としてお二方に召し上がっていただきたい、おやつの候補をインターネット投票で決定しました。およそ3000人の方から投票いただき、6品選定いたしましたので、 お二方には対局でお召し上がりいただきたいと存じます」

Dsc_6861_2(鈴木力・燕市長)
「開催地の新潟市ではない、燕市長がなぜいるのかという言い訳をいつもしているんですけれど(笑)。燕市は元日本将棋連盟会長の原田泰夫九段の出身地です。やはりお隣の市で開催されるのであれば、原田さんのお仕事としては歓迎の言葉を述べなければならないということがあります。 これは建前なんですけど、本音は無類の将棋好きでございます(笑)。山崎八段の揮毫に「生涯青春」と書かれているそうで、そのきっかけになったのが原田泰夫九段の言葉からという記事を見て、すごく縁を感じております。その原田九段は、この高島屋さんを「名局の宿」という風に称されました」

Dsc_6879(燕市の名産品が贈られる)

Dsc_6899(本田誠・産経新聞東京本社文化部部長)
「まず、1月の能登半島地震で被害に遭われた新潟市の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。能登半島地震で新潟市は最大震度5強を観測し、建物の被害は1万棟を超え、重軽傷を負われた方もいらっしゃいました。 こちら高島屋様では、建物の被害はなかったものの、地震が理由と見られるキャンセルが相次ぎ、 切ない思いをされたと聞いております。棋聖戦で長年お世話になっております主催者といたしましては、今回の対局が皆様を少しでも力づける機会になればと願っております」

Dsc_6922(日本将棋連盟常務理事・片上大輔七段)
「棋聖戦は非常に歴史があります。年に2回やっていたこともありましたので、 期数としては今期で95期と将棋界でいちばん長いタイトル戦ということになっております。また、エポックが多く生まれる棋戦としても知られており、初タイトルが棋聖だったという棋士は過去にたくさんおられます。藤井さん自身もそのひとりです。もし今期で藤井さんが勝てば永世棋聖で初めてです。山崎さんが勝てば初戴冠ということで、いずれにしても何か初めてのことが起き、今年もまたひとつ歴史が刻まれます」

(琵琶)

検分

16時30分、対局検分が行われました。高島屋おなじみの対局場とあって、約5分で終了しました。

Dsc_6588(検分の様子)

Dsc_6538(藤井聡太棋聖)

Dsc_6558(山崎隆之八段)

Dsc_6591(空調や光の確認をする)

Dsc_6612(検分では全ての駒が並べられることはない。個性が出るシーンだ)

(琵琶)

記念撮影と揮毫

15時20分、対局場「高志の宿 高島屋」に到着してすぐ、両対局者の記念撮影が行われました。

Dsc_6353(藤井聡太棋聖=右、山崎隆之八段=左)

Dsc_6360(高島屋の庭園で記念撮影が行われた)

Dsc_6485(竹林をバックに)

Dsc_6496(明日の健闘を誓う)

Dsc_6401(古時計と原田泰夫九段の掛け軸をバックに)

Dsc_6511(揮毫する両対局者)

Dsc_6528(藤井棋聖の揮毫)

Dsc_6515(山崎八段の揮毫)

(琵琶)



第95期五番勝負第2局 新潟対局

藤井聡太棋聖に山崎隆之八段が挑戦するヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第2局が6月17日(月)午前9時から新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」で行われる。4連覇中の藤井聡太棋聖が勝って史上最年少の永世棋聖有資格にあと1勝とするのか、それとも挑戦者の山崎隆之八段が勝ってタイに戻すのか。
持ち時間は各4時間。昼食休憩は12時から13時。本局の先手番は藤井棋聖です。立会人は中村修九段、副立会人は梶浦宏孝七段、記録係は吉田響太三段(所司和晴七段門下)。大盤解説会の聞き手は山口恵梨子女流三段。産経新聞の観戦記は君島俊介さんが担当します。
棋譜コメントは紋蛇、ブログを琵琶が担当いたします。よろしくお願いいたします。

【主催=産経新聞社】
https://www.sankei.com/tag/topic/life_3/

【特別協賛=ヒューリック株式会社】
https://www.hulic.co.jp/

2024年6月 6日 (木)

感想戦

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以上で第1局の中継を終わります。第2局もよろしくお願いします。

(牛蒡)

大盤会場へ

Dsc_4490(藤井棋聖)

「本局は序盤からあまり経験したことのない展開になって、どういう構想で指していくのか、かなり難しい将棋だったと思います。途中で玉頭から戦いにいったんですけど、こちらの玉も薄くなって、そのあたりも判断の難しいところかなと思いながら指していました。第2局も1週間ちょっとあとにあるので、しっかり準備をしていきたいと思います」

Dsc_4528(山崎八段)

「今日は先手番をもらったので得意の相掛かりにいって、あまり前例のないような戦いにしていきたいなと思っていました。序盤のほうで自分から少し工夫して、ちょっと動いたつもりです。その後、王様を囲い合ったあとに、指してみたい構想を思いついて、面白いなと思ったので指してみたんですけど、藤井棋聖に△4三銀と引かれて、柔らかくとがめられて……。そこでもう少し強気に指せば、もっと面白い展開になったのかなと思ったんですけど、本譜は少し受け身になってしまいました。その後の斬り合いでは1手どうやっても厳しいので、勝負勝負といったんですけど、ハッキリ足りない戦いになってしまいました。次局は後手番になりますけども、今度はより伸び伸びと指して、藤井棋聖により悩んでもらえるような将棋を指したいと思います」

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(牛蒡)

終局直後

Dsc_4433(初戦を制した藤井聡太棋聖)

――午前中の流れについて。

藤井 △3三角(16手目)のあたりからそれほど経験のない形で、どういう駒組みがいいか一手一手、手探りという感じで指していました。

――▲7五歩(37手目)について。

藤井 序盤はずっと手が広いと思っていました。▲7五歩と突かれて8一桂をスムーズに活用するのが難しくなったので、交換した1歩を生かして手を作っていけるかどうか、という感じになりました。

――△4三銀(40手目)について。

藤井 △5四角みたいな筋を狙おうかなと思ったのですが、普通に△3一玉(42手目)から△5四銀と前に出すような感じで指すのも自然かなと思ったので、どういう指し方がよいか、あのあたりでは難しいかなと思いました。

――午後の戦いはいかがでしたか。

藤井 △3五歩(44手目)から動いていくのはあまり本意ではありませんでしたけど、具体的にどういう指し方がいいのかわからなかったので進めてみた、というところでした。その後、斬り合いになって判断の難しい局面になったかなと思います。

――第1局全体について。

藤井 組み上がりのあたりは、後手番としてはそれほど不満はないと思いましたが、実際にどう動いていくかと考えてみると難しかったので、そのあたりの判断は課題だったかなと思います。

――第2局に向けて。

藤井 まずはいいスタートを切れたと思います。第2局以降は先後も決まっていますので、しっかりと準備をしたいと思います。

Dsc_4416(敗れた山崎隆之八段)

――午前中の流れについて。

山崎 先手番なんですけど、後手番っぽい駒組みになっているので、私のほうを持ちたいという人はいないだろうなと思って指していました。午前中は息の長い戦いになるのかなと思って、その長い戦いのなかでどう面白い駒組みにするかな、みたいなことは考えていたんですけど。先手番なので▲7五歩(37手目)は欲張ってみたんですけど、△4三銀(40手目)と引かれてみて対応が……。その後も突っ張ったからには、何か突っ張った手を指さないといけなかったんですけど、後手後手を引いてしまって、ペースを握られたまま押し切られてしまったかなという感じです。

――▲7五歩について。

山崎 ▲7五歩は進めるうちに(思いついた)という形ですね。突かなければ普通の右玉っぽい形になるので、突いたあとにいろいろやってみたい形があって、盛り上がって面白く指していきたいなと思って。それが△4三銀で一瞬で破綻してしまいました。

――▲2四飛(65手目)のあたりは。

山崎 あれは、すっぽ抜けてしまいました。ちょっとうっかりがあって。藤井棋聖が相手なので、ちょっと踏み込まないといけないかなと。

――うっかりとは具体的に。

山崎 △5九銀不成から△5四角で受けがないという(補足=たとえば66手目△4八銀不成に▲3四飛は△5九銀不成▲7七玉△5四角が厳しい)、単純なことなんですけど。ちょっとお恥ずかしながら、はい。それなら、もうちょっと辛抱する指し方を選ばないといけなかったんですけど、普段より踏み込まないと勝ち目がないかなと思ったので。

――第1局全体について。

山崎 先手番をもらって先手番の得を生かせないのは、いつものことなんですけど。構想力が問われるような将棋というか、息の長い戦いにしようとして、ちょっと欲張った手を指したんですけど、藤井棋聖の対応された手に対して、もうちょっとこう……。▲7五歩と指したからには、受けずにカウンター狙いで意欲的に指していかなければいけなかったかなと思います。そちらのほうがまだいい勝負ができたんじゃないかなという思いはあります。予定と違うような戦いになったところで弱気になってしまったのは、挑戦者としてよくなかったと思います。

――15年ぶりのタイトル戦でした。

山崎 普段と違う空間で、より引き締まる思いで将棋を指せるのは幸せなことだと思いました。これで内容がもう少し競れば、より気持ちの上で楽しいんだろうなと思いながら……。いい場所で指させてもらえているな、という感覚はありました。

――第2局に向けて。

山崎 次は後手番ということで、かなり厳しい状況ではあるんですけども、自分のベストをもっと出しきって、もっといい将棋を指したいなという気持ちです。

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(牛蒡)

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