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2021年7月 4日 (日)

記者会見

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【主催紙インタビュー】

――将棋界には、「タイトルを防衛して一人前」という言葉があります。見事、防衛されましたが、その感想をお願いします
藤井「今期の棋聖戦は、渡辺名人を挑戦者に迎えるという形になって、自分にとって試練といえる五番勝負と思っていたので、その中でなんとか防衛という結果を出せたのはうれしく思います」

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【各社インタビュー】

――渡辺名人というトップ棋士を迎えて、去年は3勝1敗、今年は3勝0敗でストレート勝ちという結果になりました。そのことについてはいかがですか
藤井「今回の棋聖戦は第1局から第3局まで、どれも苦しい部分があったと思うので、3連勝というのは実力以上の結果が出たのかなと思っています」

――昨年、棋聖を取ってタイトル保持者になられて1年がたちました。今日、改めて防衛されて、ご自身で変わった点や、成長したなと思うところがあれば教えてください
藤井「タイトルホルダーになったことでトップ棋士の方と対戦する機会が格段に増えて、成長した実感というよりは、新たな課題が見つかることのほうが多かったと思います。それも成長につなげていければと思っています」

――今日で九段になられたということでお聞きしたいのですが、三段から四段に上がったときを振り返って、そのとき九段に対してどのようなイメージをお持ちでしたか。また、九段になるまでどのくらいかかると思われていましたか
藤井「九段になると実績のある方ばかりという印象でした。自分もそこに加わることができたのは、うれしく思っています。昇段の規定はいろいろあるので、そのような(どのくらいで九段になれるか)イメージはなかったです。

――今後の具体的な目標や、将来的なビジョンはありますか
藤井「タイトル数とか具体的な数字は意識していなくて、それよりも対局の内容をよくしていきたいと思っています」

――藤井棋聖は記録であるとか、数字であるとか、段位であるとか、勝負の世界に生きるものであったら誰もが追い求めるものに、あまり興味を示されないかと思います。それはどうしてでしょう
藤井「結果ばかりを求めていると、それが出ないときにモチベーションを維持するのが難しくなってしまうのかなと思っています。内容を重視して、1局指すごとに新しい発見をして改善するというのがモチベーションにつながると思っています」

――よく「強くなりたい」という言葉をおっしゃっていますが、そういった思い、将棋の真理を追うといいますか、それを目指していくお気持ちというのは
藤井「これまで公式戦で200局以上、指したと思いますが、その中でも完璧に指せたなという将棋は1局もないですし、自分が強くなることで、いままで見たことがないような景色を見ることができたらなと思っています」

――1年前と比べて、ファンや地元の方を意識した言葉が多くなったように思いますが、その辺りについては

藤井「タイトル戦に出るようになってから、いろいろな方のおかげで将棋が指せるんだなという意識が強くなったところはあると思います」

――今回の棋聖戦で3連勝できた勝因は、どのように考えていますか
藤井「勝因というのは難しいんですが、第2局と第3局はこちらの持ち時間が少なくなって時間に差がつく場面がありましたが、そういった状況で粘り強く指すことができたのかなと思っています」

――第1局と第2局は相掛かりでしたが、昨年までは先手番でその戦型にしていなかったと思います。何か戦法の幅を広げるというような意識があったのですか
藤井「1年ほど前まで(先手番で)角換わりの割合がかなり高かったですが、いろんな戦型を指したほうが、面白いのかなと思っています」

――終局直後のコメントで「防衛して一人前」という大山康晴十五世名人の言葉があり、防衛の難しさを語ったものだと思いますが、実際に防衛を果たされたいま、改めてどう感じていますか
藤井「今回防衛戦で結果を出すことができましたが、それで一人前になったかというと、そういう意識はなく、今回の五番勝負で改善できるポイントがいろいろあったので。防衛してホッとしているところはありますが、それに満足することなく、やっていきたいなと思っています」

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(玉響)

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