西村九段は山崎八段より長い、18年のブランクでタイトル戦を戦いました。1941年生まれ。中学卒業後に上京。住み込みで働き始め、休日に将棋の勉強をしていたそうです。19歳でアマ名人戦の東京都代表になったのをきっかけに佐瀬勇次名誉九段の内弟子に。奨励会は1級で合格しました。1963年にプロ入り。雁木や穴熊を得意とし、力戦に強い棋士でした。2006年に引退。通算成績は778勝742敗(0.511)。タイトル戦登場2回。棋戦優勝2回。将棋連盟の理事も長く務めました。
1969年7~10月 第10期王位戦七番勝負
大山康晴王位-西村一義五段 大山が4勝2敗で防衛
1987年6~7月 第50期棋聖戦五番勝負
桐山清澄棋聖-西村一義八段 桐山が3勝0敗で防衛
1969年に27歳で王位戦七番勝負に登場。2回目の挑戦は棋聖戦。谷川浩司九段、加藤一二三九段、大山康晴十五世名人、小林健二八段を本戦で破っての挑戦権獲得でした。五番勝負開幕時の年齢は、西村九段が45歳、桐山清澄棋聖は39歳でした。
控室の評判は「後手が少し作戦勝ち」。先手番としては、主導権を握って攻めていきたいのですが、本局では難しそうです。戸辺七段に話を聞きました。
「先手の駒組みはあまりスムーズではありません。バランスの取り方に苦労している印象です。時間の使い方を考えても、山崎八段が少し苦しいのかなと思います。ただ、山崎八段は中盤で力を発揮するタイプですし、後手番になったくらいの気持ちで、相手に動いてもらいたい、と考えているのではないでしょうか。藤井棋聖としても、そう簡単ではないと思います。△5四銀と戻って様子を見るか、積極的にいくなら7筋の歩を切るか。まだしばらくジリジリとした展開になるのではないかと思います」