終局直後、両対局者は主催紙の取材に応じました。
(藤井棋聖は質問に答えている間、目を閉じて、終始、難しい表情でした)
―― まず藤井棋聖、50手目△4六銀の局面で、昼食休憩に入りましたが、消費時間にかなり差がついていました。そのあたりの心境は。
藤井 △8六歩で仕掛けていったんですが、ちょっと▲4七銀から▲4八角と受けられて、おもわしい攻め方がわからなかったです。
―― 同じ局面で永瀬王座、指し手が早かったのですが。研究の範囲ということですか。
永瀬 はい。想定の範囲内です。相居飛車の将棋では大事なところなのではと思い指していました。定跡みたいな認識でいました。
―― △4八と(66手目)から△3八とで、先手玉とは反対方向にいくことになりましたが。
藤井 基本的に自信がないと思っていたので、そう進むのは仕方がないと思っていました。
―― 同じ局面、永瀬王座は。
永瀬 △4八とのところは、▲7九玉なら△3八とから△3七とが大きいので、できれば指したい順ではなかったのですが、手前で代案を探したのですが、(本譜は)さっぱり指しすぎたのかもしれません。
―― 終盤は一進一退の攻防が続きましたが、藤井棋聖はどのあたりで指せると?
藤井 △3七とで桂を取ってから数手で形勢を損ねてしまったので、終盤はずっと苦しいのかなと思っていました。△4八歩(120手目)で詰めろが続きそうな形になったのかなと思いました。
―― ▲3二金に△1三玉(114手目)としたところは。
藤井 時間がなくて、勝負手のつもりで。
―― △1三玉▲3一金に△9七銀と打ちました。
藤井 まったく、わかっていなかったのですが、△1三玉とした流れから仕方がないと思っていました。
―― 本局を勝ちまして、シリーズ成績を1勝1敗にしました。第3局の意気込みを。
藤井 内容的に押されているので、第3局以降は内容をよくして、戦えるようにしたいです。
―― 永瀬王座、1勝1敗という形になりました。第3局に向けては。
永瀬 こちらも基本的によくわからないままに指していました。終盤、△9七銀から踏み込まれて、あっさりいってしまったので、終盤の悪いところよくして、第3局に挑みたいと思います。
(吟)
第2局は藤井棋聖が永瀬王座に勝ちました。終局時刻は19時21分、消費時間は▲永瀬王座3時間59分、△藤井棋聖3時間58分。藤井棋聖が熱戦を制してシリーズ成績を1勝1敗のタイにしました。第3局は7月4日(月)、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われます。
(文)
△9七銀が、先手玉の端からの逃走を防ぐ一着。藤井棋聖が勝勢になりました。モニターを見る木村九段は「受けにくいのか」とポツリ。
(吟)
(近藤正七段の師匠、故原田泰夫九段の書。丙寅夏とあり、1986年に書かれたものとわかる)
(フロントでは、今期棋聖戦五番勝負の扇子が販売されていました。藤井棋聖が「知」、永瀬王座が「鬼」と揮毫しています)
(幾多の名勝負が繰り広げられた宿。当時の全冠を保持していた羽生善治七冠の一角を崩し、三浦弘行五段(現九段)が、第67期棋聖戦(1996年)で、フルセットの末、タイトルを奪取したのが、高島屋でした)
【高志の宿 高島屋】
https://takasimaya.co.jp/
(吟)