前夜祭(4)
【明日のみどころ】
立会人の田中寅彦九段、副立会・大盤解説者の佐々木勇気七段、大盤解説聞き手の貞升南女流初段が明日の展望を語った。
田中「4年前にも立会人を務めました。同じような顔ぶれもいらっしゃいますし、違う方もいらっしゃる。ありがとうございます。私も1回だけ棋聖を取っていますが、残念ながら高島屋では対局がなかったので、立会人としてうかがっています。今回の二人の勝負は三冠と二冠の対戦。最高の勝負です。最高レベルの対戦を堪能いただきたい。豊島棋聖はカド番ですが、それと関係なく、最高のものを出し切ると思います。その勝負を楽しんでいただけたらと思います」
佐々木「大盤解説を務めますが、田中先生がいらっしゃるので安心です。棋聖を取られたということですが、南(芳一)棋聖に挑戦されて、1勝2敗から巻き返したんですね。大きな一番を戦った当時のお気持ちを教えていただけたらと思います」
田中「よく覚えています。当時、私は思い上がっている人間ですから、世界でいちばん強いと思っていました。負けた将棋は自分がミスったから。ミスらなければ勝てると思っていて、それだけの努力したつもりでもありました。普通にやれば勝てる。おそらく、豊島さんも同じように思っているんじゃないかな。自信のない人は、こういうところにこられないですから。
佐々木「豊島棋聖は追い込まれて、渡辺二冠が追い詰めていますが、どちらにプレッシャーがかかっていると思いますか」
田中「あの二人はプレッシャーをコントロールできています。そうでないと、タイトル取れません。佐々木さんはもう、それができかけていると思います。私が思うに、いちばんの敵は自分自身。絶対自分が間違う。自分に勝てる人間が強い」
佐々木「星は渡辺二冠がリードしているけど、あまり関係ないと」
田中「渡辺さんは頭からなくなっていると思います。そうでないと永世称号を取れないと思います」
佐々木「深い話を聞かせていただきました」
貞升「戦型はいかがでしょうか」
田中「先手が豊島さんですよね。いつもやっているのは角換わり。それを目指すと思います。渡辺さんは作戦家で頭がいい。とても準備がうまい。何か温めているものがあると思います」
佐々木「現在は先手番が大きい。先手番は勝ちたいというのがあって、後手番はついていく。そういう意味では先手の豊島棋聖がやや優勢に持っていくのではないかと思います」
田中「渡辺二冠はいろんな豊島流を予期して、反撃を用意していると思う。それが楽しみでしょうがない」
佐々木「角換わりといっても広いですが、それに適応するのが渡辺二冠の深さ。そのあたりが見どころです。間違いなく最新形で研究がぶつかって、のちのちの定跡になると思います」
以上で本日のブログ更新を終了いたします。
対局は明日9時開始です。どうぞお楽しみに。
(書き起こし=銀杏)
(八雲)