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2017年7月

2017年7月12日 (水)

一夜明けて

対局翌朝に羽生棋聖のインタビューが行われました。10連覇通算16期目の棋聖位獲得を振り返るとともに、今後の抱負を語りました。

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――一夜明けて、改めて防衛の感想をお願いします。
羽生 シリーズが終わってホッとしました。産経新聞を見て、実感がわきました。

――棋聖10連覇の偉業を達成しました。
羽生 あまりそれを意識して目指していたわけではないですが、結果として出たことは自分でもびっくりしています。頑張ってきたものが形となって、よかったと思います。

――ことごとく若い世代の挑戦を退けています。
羽生 いまは20代で勢いのある研究熱心な人がたくさんいます。それぞれタイプが違うので、対策を考えながら対応しているのが実情です。そういう若い人たちの感覚を自分自身に取り入れながら、やっていけたらいいなと思います。

――将棋を指すなかで若い世代を意識するということはありますか。
羽生 毎回というわけではないんですが、ある程度、最新の形でも対応できるように、知っておくのは大事かなと思っています。研究にはまってしまうということもあるんですが、毎回それを避け続けていくということもできません。流行形をフォローしていくのも大事だと思います。

――挑戦者の斎藤七段は物腰の柔らかい好青年だったと思います。闘志がわきにくくてやりにくいということはありましたか。
羽生 やりにくさというよりも、初めてのタイトル戦で堂々と対局していたのが印象に残っています。

――3勝1敗でシリーズを制しました。総括をお願いします。
羽生 4局とも非常に接戦というか際どい内容が続きました。どの対局もどちらに転んでも不思議はなかったと思います。

――あと2期で通算100期のタイトル獲得になります
羽生 いまタイトル戦が進行中ということもあるので、それに勝っていって、結果としてそういう形になればいいなと思います。ただ、意識しても仕方がないので、自分らしい将棋を指して結果としてついてくればと思っています。

――藤井聡太四段について、檜舞台で待っているとコメントしていました。早くタイトル戦で戦ってみたいですか。
羽生 早くやってきてほしいというよりも、私自身がどこまで頑張れるかということです。あの年齢であの完成度はすごいと思います。中学生のときは粗削りというか、欠点があると思うんですけど、藤井四段はそれが見当たりません。それがいままでの棋士と違うと思います。

――棋聖10連覇。そして大山康晴永世棋聖や中原誠永世棋聖に、棋聖の獲得数が並びました。それが、ここ高島屋で刻まれたことについて、感想をお願いします。
羽生 大山先生と中原先生は長きにわたって活躍されましたが、それはやっぱり大変なことなんだと、最近になって実感することが多いです。高島屋さんでは数多くの対局をしてきて、今回また自分にとって記憶に残る対局が指せたのではないかなと思っています。

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以上で第88期棋聖戦五番勝負の中継を終了いたします。ご観戦ありがとうございました。また来期の戦いにご期待ください。

(書き起こし=紋蛇、写真=琵琶)

2017年7月11日 (火)

感想戦

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(琵琶)

大盤解説会場で振り返る

終局直後のインタビューが終わると、両対局者は多くのファンが待つ大盤解説会場に移動しました。立会人の石田九段と副立会人の飯島七段とともに勝敗を分けた局面を検討しました。

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(琵琶)

終局直後

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■羽生善治棋聖
--本局に勝ちまして10連覇を達成しました。感想はいかがでしょう。
羽生 まだ終わったばかりなので、あまり実感はわかないのですが、結果が出せてよかったなと思っています。
--3期連続での20代の挑戦を受けてきたわけですが、3回目の挑戦を跳ねのけたことに関して。まだまだ若い棋士には渡せないという考えはありますか。
羽生 非常に強くて勢いのある若手の人たちがたくさん出てきているので、非常に大きな刺激になっています。自分自身の将棋も新しい感覚を取り入れながらやっていけたらと最近思っています。
--今回の棋聖の防衛でタイトル通算98期、前人未到の100期が視野に入ってきたと思いますが、意気込みはいかがでしょう。
羽生 現在、他のタイトル戦が進行中ということもあるので、気力を充実させて前に向かっていけたらいいなと思っています。
--来期の棋聖戦に向けての意気込みは。
羽生 (少し戸惑いながらも)先の話ではありますけど、いいコンディションで臨めるように準備していきたいと思います。

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■斎藤慎太郎七段
--本局を振り返っていかがでしょうか。
斎藤 割と早い段階で悪くしてしまったような気が。いままでの4局の中でもずっと苦しかったと思います。
--タイトル初挑戦という中で初勝利も挙げました。タイトル戦そのものを振り返って、得られたものはありましたか。
斎藤 やはりタイトル戦は和服での対局ということで、やはり緊張感もありましたし、集中力を保てたかなということは収穫といいますか、次のチャンスがあれば今回の経験を生かしたいなと思っております。

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(琵琶)

羽生棋聖が10連覇

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第88期棋聖戦五番勝負第4局は、127手で羽生棋聖が勝ちました。終局時刻は19時23分。消費時間は、▲羽生3時間59分、△斎藤3時間59分。

羽生棋聖はシリーズ成績を3勝1敗とし、棋聖防衛を決めています。棋聖10連覇を達成です。獲得数は、大山康晴永世棋聖、中原誠永世棋聖に並び、16期で歴代1位タイになりました。

(紋蛇)

徹底防戦の挑戦者

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19時15分、挑戦者の斎藤七段が徹底防戦の構えで懸命の粘りを見せています。果たして逆転につながるのでしょうか。羽生棋聖も一分将棋だけに気の抜けない展開が続きます。

(琵琶)

両者一分将棋に

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18時57分、この局面で両者一分将棋になりました。形勢は依然として先手の羽生棋聖が優勢のようです。

(琵琶)

斎藤七段が一分将棋に

斎藤七段が一分将棋になりました。対して羽生棋聖の残りは7分です。形勢は先手の羽生棋聖が優勢と見られています。しかし、斎藤七段の懸命の粘りも見ごたえがあります。

(琵琶)

大盤解説会場の見解

局面は大詰めの終盤戦を迎えています。飯島七段は大盤解説会場で「羽生棋聖が読みきったと思います」と解説をしました。10連覇が近づいているようです。あとのない斎藤七段はここが踏ん張りどころです。

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(琵琶)

原田泰夫九段の掛け軸

新潟県燕市は原田泰夫九段の出身地です。原田九段は書家としても有名で、数々の作品を残しています。ロビーや対局室の床の間に飾られ、それを見た関係者が思い出を語り出すのです。
羽生棋聖は前夜祭で「子ども向けの将棋本を作るということでご自宅にお邪魔して、二枚落ちで負かされました。また原田先生は達筆な書で知られ、お手本のようなものを送っていただき、大変お世話になりました」と感慨深げに話していました。

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(琵琶)

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