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2011年4月

2011年4月28日 (木)

「心情的に後手持ちです」

昼にも姿を見せた上田女流二段が再び控室に。△6六銀(38手目)での見解をうかがうと、次のように答えてくれた。「どうしても、6六の銀と4八の銀の差に目が行ってしまいますね。△4四角とすれば、角の働きにも差がついてきそうです。今の時点では『どちらがよい』とは言えないと思うのですが、心情的には後手持ちです」。本局の観戦記を担当する伊藤能五段は、「こっち(先手)の指し手が難しいなあ」とつぶやいている。

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(上田女流二段)

(文)

銀のドリブル

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図は14時30分頃の局面。深浦九段の銀がスルスルと6六の地点まで躍り出た。先手玉のコビンを狙う好位置で、この銀はここにいるだけで大きな価値がある。先手はこの曲者を追い払いたいのだが、なかなかうまい手段がない。8六の角も現時点ではきゅうくつで、今後どのように進めていくのか悩ましい局面と言えそうだ。

Twitter解説
大石直嗣 > 角を手放す展開になりました。7筋の攻防になりそうです。先手としては4八の銀の使い方が難しいところです。▲5六歩と突きたいところですが△5五歩など気になります。38手目から一例としては▲4六歩△8三銀▲4七銀△7二金▲5六銀のような感じでしょうか。
瀬川晶司 > 後手は△8三銀~△7二金として機をみて△7四歩や△8五歩を狙うといった感じでしょうか。先手の指し方が悩ましいです。中盤の難所ですね。

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(対局室カメラによる画像。佐藤天六段が上着を脱いでいる)

(文)

深浦九段、角打ちで動く

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対局再開からしばらくして、深浦九段の手で△5三角が盤上に放たれた。序盤早々に佐藤天六段が築いたポイント(7五の位)に対し、直接ぶつかりに行っている。深浦九段らしい闘志あふれる一手だ。自然に見える手は▲8六角だが、その先を読めばまたとるべき対応も変わってくるかもしれない。佐藤天六段は時間を使って考えている。この局面が本局ひとつめの勝負どころになるようだ。

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(深浦九段。写真は対局再開時のもの)

(文)

対局再開

定刻の13時になり、対局再開。佐藤天六段は13時から少しだけ遅れて入室。「時間になっております」と記録係に告げられると、「失礼しました」と言って腰を下ろした。

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(文)

門倉啓太新四段

12時30分頃、控室に門倉啓太四段が来訪。続いて真田圭一七段、山口恵梨子女流初段も姿を現した。門倉四段は継ぎ盤の前に座ると、「これはゴキゲン中飛車の▲7八金の将棋とよく似てますね。これはいろいろ似た将棋がありますよ」と嬉々として解説を始めた。ゴキゲン中飛車に対して▲7八金とする将棋では、先手が▲7七角~▲3三角成と角交換をするのだが、本局(△3三角戦法)ではダイレクトに▲3三同角成と交換するため、先手が1手得しているのだという。「深浦さんはそれでも後手がいいと思ってるから、この局面にしているんでしょうね」。

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(継ぎ盤を見る真田七段(左)、門倉四段(右))

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(山口女流初段)

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(門倉四段の後ろで検討を見ているのは、三枚堂達也初段)

(文)

昼食休憩中の特別対局室

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(佐藤天六段の玉将)

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(深浦九段の王将)

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(棋譜用紙)

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昼食休憩に入る。再開は13時より

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12時10分、図の局面で深浦九段が22分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲佐藤43分、△深浦1時間8分。昼食の注文は両者ともになし。深浦九段は水2リットルを頼んでいた。対局は13時に再開する。

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(対局中の上田初美女流二段。控室の継ぎ盤を前に、ここまでの進行を確認していた)

(文)

位取りの先手、平たい後手

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図は11時45分頃の局面。先手は位を取り、のびのびとした陣形を目指している。後手は対照的に平たい陣形。どのように駒組みを進めていくのだろうか。Twitter解説の棋士たちの見解を見てみよう。

Twitter解説
北島忠雄 > 終盤が弱い解説者なので、早めに、たくさん、つぶやいておきます。
北島忠雄 > 終盤は、じっとしています。瀬川さん、皆様よろしくお願いします。
瀬川晶司 > 北島さん、またご謙遜を(笑)終盤もよろしくお願いします。先手は位取りの構想がハッキリしました。後手がどう指していくか注目ですね。
瀬川晶司 > 3九の銀が4八~5九~6八~7七と組めれば先手満足ですね。さすがにそれは後手も許さないのでしょうか。
飯塚祐紀 > ▲7五歩の位取りは 本日の解説者の 西尾六段得意の形ですね。
北島忠雄 > 先手は右銀を、どう使うのでしょう。個人的には7七銀型が好みです。
大石直嗣 > 先手の3九銀がポイントになりそうですね。皆様が言われてるように7七まで銀を進めたいところです。
西尾明 > 最近、全く同じ将棋を研究会で指しました。先手の右銀を左に持っていこうとしたら、後手は5筋から攻めてきて、結構大変でした。

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(「日本将棋連盟モバイル」のポスター。本日の解説者、北島六段の姿も)

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今日の千駄ヶ谷

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(四月の指導対局ポスター)

(文)

深浦九段、△3三角戦法を選択

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深浦九段、佐藤天六段ともに居飛車を主軸とする棋士。遠山五段、大石四段は横歩取りや相掛かりを戦型予想に挙げていたが、深浦九段は4手目に△3三角と上がった。これは横歩取りでも相掛かりでもない。解説の棋士も意表をつかれたようだ。
これは「4手目△3三角戦法」と呼ばれる作戦で、ここから▲同角成△同桂と進む。基本的には対応型の戦法で、先手の指し手によって居飛車・振り飛車どちらにも変化できる点が特徴。ポイントは序盤に跳ねた3三の桂で、これがキズになるか得になるか。互いに駒組みのセンスを問われる戦型である。

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駒組みが進んだ局面。後手は△2一飛~△2五桂の仕掛けがひとつの狙い。先手は▲6七銀が工夫の手で、▲7五歩(図)と早い段階で位取りを目指した。3九の銀が不動なのはちょっと目新しく感じるところだが、先述の仕掛けに備えている。

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(写真は対局開始直後のもの)

(文)

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