カテゴリ

« 2010年4月 | メイン | 2011年4月 »

2010年6月

2010年6月 8日 (火)

【梅田望夫観戦記】 (5) 昼食休憩時: 米長の目

 ただいま昼食休憩の局面。▲2二歩で後手深浦長考のまま昼食休憩に入ったところ。

 米長会長とランチを食べながら、いまの局面について話を聞いた。

 「深浦王位がこの局面に誘導したのに、ここで長考に入っている理由がよくわからない。ここは△同金と取る一手だろうと思うから、それを指して、羽生が▲3三銀か▲4五桂のどちらを指すかを見てから長考すべきではないか。羽生は素人っぽい手を指すから▲3三銀かもしれないが、私なら▲4五桂と指したいところだ。」

昼食休憩に入る

Kisei2010060863

▲2二歩に深浦王位が53分使って、昼食休憩に入った。
ここまでの消費時間は▲羽生棋聖1時間7分、△深浦
王位1時間17分。ここまでは前例が6局あり、先手4勝、
後手が2勝。

「早い進行ですがあと数手でぴたりと止まると思います。
△2二同金以下の例をあげると▲3三銀△3八飛▲2二
銀不成△同飛▲3三歩成△同桂▲同馬△3二歩▲4三
桂△同銀▲同馬△5八飛成▲4二金△2一玉▲3三銀
△5七馬▲8八玉できわどく詰みなしで先手勝ち。これは
昨年11月のB1阿部(先)-畠山戦の進行です。美しい
手順です」(飯塚祐紀七段)。

昼食休憩は12時~13時まで

(吟)

両対局者の昼食

Imgp6121

羽生棋聖が注文した、うな重弁当とグレープフルーツジュース

Imgp6123

深浦王位が注文した、出雲そばとおにぎり2個、オレンジジュース

(吟)

午前の大盤解説会

Img_0396_2
(米長邦雄永世棋聖と里見香奈女流二冠。)

Img_0405_3
(この局面は、すでにどちらかが勝ちになっています)

Img_0399_2

(烏)

昨年、第1局の控え室

Imgp0694_2

Imgp0709_8

昨年6月9日、岩室温泉「高島屋」にて行われた第80期棋聖戦の開幕局。
深浦王位に現地中継解説をお願いした。控え室にて梅田望夫氏に解説する
深浦王位。今年は挑戦者として棋聖戦第1局に帰ってきた

(吟)

午前の控え室

Imgp6117

Imgp6115

島根県の近県である岡山県岡山市出身の菅井竜也四段。
記録係の稲葉四段もであるが、副立会人の井上八段門下
である。控え室にて、真剣な表情で検討を行っている

(吟)

玉峰山荘

Imgp6087

Imgp6095

Imgp6090

Imgp6092

落ち着いて静かな佇まいの玉峰山荘。
ゆったりとした大浴場や露天風呂や岩
風呂もある。
対局室からも豊かな緑が楽しむことが
できる

(吟)

【梅田望夫観戦記】 (4) どちらがどこで研究手を放つのか。

 副立会の井上慶太八段が大盤解説場から戻った合間にお話を聞いた。

 6月1日、つまり一週間前に指された飯塚中田戦の66手目の△4一玉が、いま角換わり同型でいちばんホットな富岡流と呼ばれる戦法における新手で、そのあとの展開をみるに△4一玉で後手が指せるみたいな気がする、とのこと。

 午前10時48分現在、59手目▲1一角まで超スピードで進んでいるが、おそらくこの将棋がベースになっているのは間違いないのではないかというのが控え室の見解。

 飯塚中田戦では、ここから△2八馬▲4四角成△3九馬▲2二歩△同金▲3三銀△4一玉(中田新手)と進んでいく。

 果たしてこの将棋では、どちらがどこで研究手を出すのだろうか。

 チャット解説の飯塚七段によると、

 「そういえば、その対局の感想戦を対局終了後(王位戦対戸辺六段戦)の羽生さんが見ていらしたことを思い出しました」

 とのこと。

 控室の菅井四段によると、関西の若手研究会では△4一玉はすでに研究されているようだ。「4一玉でよくなるのであれば、同型問題に新しい地平が広がる」とのこと。

志願の記録係

Imgp60041

四段であるプロ棋士が記録係を務めるの珍しい。稲葉四段
は棋聖戦では昨期は挑戦者決定戦まで進出。今期も決勝ト
ーナメントベスト4まで進出し、大いに棋界を沸かせた。
稲葉四段は自ら志願し記録係を買って出て「いずれはタイト
ル戦に出るつもりですから」と昨晩、意気込みを語っていた

Imgp6058

10時20分頃の対局室。中央が記録を務める稲葉四段

(吟)

同型、角換わり腰掛け銀となる

Kisei2010060838

10時には38手目△3三銀まで進んで、同型の角換わり
腰掛け銀となった。この局面は先手141勝、後手91勝と
先手の勝率が良いが、後手、深浦王位の対策、秘策が
注目される。

「私は先手後手どちらも指したことがあります。終盤まで
研究で一気に行くのでどちらを持っても大変怖い将棋です」
(飯塚祐紀七段)。

(吟)

=== Copyright (C) 2009 >>> The Sankei Shimbun & Japan Shogi Association === All Rights Reserved. ===