渋い応酬から一転して激しい手順に
100手目の△9三桂は、いかにも木村八段らしいというべき一手、徹頭徹尾「何もさせませんよ。」というところだろう。それに対しての、▲8二歩成は、これまた落ち着いていると言うか、なんと言うべきか。香車をとる、という明確な狙いがあるのは、当然なのだが、果たしてそんな余裕がこの局面であるのだろうか?その後、△1三馬▲2八飛と、かなり渋い手の応酬となっている。
ところが、ここで事態が一転する。木村八段は、虎の子の一歩を使って、6七に手裏剣を飛ばした。ここで、しばらく稲葉四段が考えていたが、▲同金(図)とした。その手を待っていたかのように、木村八段の△5六銀。対して、読み筋とばかりに、△3九角(図)までノータイムで進む。