木村一基八段の非凡な一手
前掲図の39手で昼休となったが、控え室では、稲葉四段の研究に対してばかりが話題となっていたが、一方の木村八段もここで非凡な一手を昼休み明けに繰り出すこととなった。△6二飛!(図)この一手を見た、真田七段は、「ひゃー。」と声を上げた。なぜなら、6筋飛車がいわゆる「壁」となって、玉の退路を塞いでいるからである。
「どうなんだろう?」一同が首を傾げていたのだ、そう言っていた矢先、▲2四飛△4四銀!と進行した。
この木村八段の4四銀によって、今までの稲葉四段の土俵で戦っていたと思われてた空気が、微妙に変化する。いわゆる「空気が変わった。」ようだ。この△4四銀に対して「雰囲気が出ています。」と真田七段。受け師としての面目躍如といったところだろうか。勝又六段は、「いよいよ木村ワールドだぁ~。」
どうにもこの一手は、稲葉四段も想定外であっただろうとのこと。流石の稲葉四段もこの一手は研究外であっただろう。感想戦で、そのあたりは明らかになるだろうが、只管考え込むこと30分を超えた。控え室も、逆に先手はこの後どうするのか?ということを考えている。