2015年7月28日 (火)

両者のこれまでの対戦成績です。女流王座戦では2度の対戦があり、第2期(2012年)、第3期(2013年)といずれも挑戦者決定戦で顔を合わせました。結果は1勝1敗。

対戦成績


第2期の挑戦者決定戦は、本田女流二段の一手損角換わりに里見女流四冠の早繰り銀という戦型でした(いずれも肩書きは当時)。これに対し、本田女流二段は△4二飛から右玉に構えて対抗します。互いに難しい駒組みが続く中、里見女流四冠の▲8六歩が疑問手(第1図)。これが大きなキズとなってしまいました。

▲8六歩

その後、戦いが始まり本田女流二段が桂得を果たします。迎えた第2図、その得した桂を△5二桂と打ったのが好判断で、以下▲4六飛△8五歩と玉頭攻めを間に合わせて▲8六歩を咎めることに成功しました。

▲4四飛

そして終盤。里見女流四冠が猛烈な追い込みを見せますが、第3図▲6八歩の中合いに焦らず△4四銀と引いて、▲5三銀△同銀▲7三金△5一玉▲5三桂成と、先手に金を使わせてから△6八飛成を決行して一気に寄せ切りました。この対局で初のタイトル挑戦を決めた本田女流二段は三段に昇段しています。

▲6八歩

対局開始30分が経過。相居飛車の変則的な出だしでしたが、どうやら戦型は角換わり腰掛け銀に落ち着きそうです。ただし通常の形と違い、後手が△8四歩の位置で保留している点や、先手が左美濃に囲っている点に注目です。

▲3六歩

10時になり対局開始。振り駒の結果、先手は本田女流三段に決まりました。

対局開始

本田小百合女流三段

◆本田 小百合(ほんだ さゆり)女流三段◆
・1978年10月3日生まれ
・茨城県水戸市出身
・(故)佐瀬勇次名誉九段門下
・女流棋士番号は14
・1992年、女流2級
・2012年、女流三段
・タイトル戦登場は1回

里見香奈女流二冠

◆里見 香奈(さとみ かな)女流名人・女流王位◆
・1992年3月2日生まれ
・島根県出雲市出身
・森けい二九段門下
・女流棋士番号は33
・2004年、女流2級
・2011年、女流五段
・タイトル戦登場は22回。獲得は女王1期、女流王座1期、女流名人6期(クイーン名人)、女流王位2期、女流王将3期、倉敷藤花5期(クイーン倉敷藤花)の計18期

おはようございます。本日は第5期リコー杯女流王座戦本戦1回戦より、里見香奈女流二冠と本田小百合女流三段の一戦をお送りします。

対局は大阪市福島区「関西将棋会館」で、7月28日(火)10時開始。持ち時間は各3時間。先後は振り駒で決定します。

関西将棋会館
(大阪は朝から気温30度に達しており、セミの元気な鳴き声が聞こえる)

【株式会社リコー】http://www.ricoh.co.jp/
【日本経済新聞】http://www.nikkei.com/

本局の中継は夏芽が担当します。よろしくお願いいたします。

2015年7月24日 (金)

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感想戦終了後、勝った甲斐倉敷藤花にインタビューをいたしました。

――本局の総括をお願いします。

甲斐 序盤は(27手目)▲6五歩と位を取って、駒組みするくらいまで予定でした。攻撃するまで手数がかかるのですが、(49手目)▲5七角まで進んだところでは、相手が攻めにくいので作戦勝ちだと感じました。ただ、(54手目)△4六歩▲同金を入れずに△3三桂で難しかったようです。本譜は▲3五歩が入って押さえこみやすくなりました。以下は攻めさせて駒をため、最後まで怖かったですが後手が足りませんでした。

――次の中村真梨花女流三段の印象、次戦の抱負を聞かせてください。

甲斐 真梨花さんは中終盤が力強い。攻めが強いのでしっかりと準備してのぞみたいです。

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16時30分頃の局面です。この▲3一飛に甲斐倉敷藤花が42分使い、残り時間は▲甲斐54分、△岩根7分となりました。中継室では先手リードという評判ですが、後手の手段もまだ尽きたわけではありません。攻めがつながればすぐに勝負形です。

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15時過ぎ、図の局面で千葉幸生六段が中継室へ来訪。現局面は「先手が悪い理屈はない」と評価をいただきました。先手良しのようです。

Image_17(予想は「△1五角です」と千葉六段。実戦もそのように進んだ)

Image_18(甲斐倉敷藤花が良くなったようだ)