終局直後
終局直後に主催者インタビューがありました。
(苦しい将棋だった藤井三冠。一瞬のチャンスをつかんだ)
――本局を振り返って。
藤井 △8六歩(30手目)から積極的に動かれて、そのあと△3四歩(36手目)に▲4六歩としたんですけど、▲8七金とかで強く戦うべきだったかもしれません。本譜は△3五歩(38手目)から△2四飛と回られて自信がない展開になってしまったと思います。
――封じ手のあたりはいかがですか。
藤井 飛車の配置が悪いので失敗したかなと思っていました。
――二枚飛車と二枚角で激しい戦いになりました。あのあたりは。
藤井 金が上ずってしまっている分、常に自信のない展開だと思っていました。
――どのあたりで手応えを感じましたか。
藤井 ▲7一飛(79手目)と打って攻め合いの形が作れたかなと思いました。
――よくなった局面は。
藤井 ▲3六玉(111手目)と桂を取って、こちらの玉がいい形になったと思いました。
――能楽堂での第1局で先勝したことについて。
藤井 能楽堂での対局ということで、普段以上の緊張感がありました。1勝することができたので、また次局以降も全力を尽くしたいと思います。
(藤井三冠のインタビューの間、豊島竜王は視線を落としていた)
(質問に答える豊島竜王)
――本局を振り返って。
豊島 難しい将棋でした。そんなに自信はなかったです。歩損なのでどうだったのか。どこかで間違えているんだと思うんですけど、そんなにはっきりよくできる感じでもありませんでした。でも途中からちょっとずつ悪くなってしまったので……。均衡を保つ手があればよかったんですけど。
――二枚飛車を持ったあたりは。
豊島 飛車角交換になったあたりですか。よくわかりませんでした。何か手段がありそうだと思ったんですけど。
――能楽堂での公開対局でした。
豊島 集中して指すことができたと思います。
――第2局に向けて。
豊島 気持ちを切り替えて、また頑張りたいと思います。
藤井三冠が先勝
123手で藤井三冠が勝ちました。終局時刻は19時25分。消費時間は▲藤井7時間56分、△豊島7時間59分。第2局は10月22・23日(金・土)の両日に京都市右京区「総本山仁和寺」で行われます。
先手勝勢
△6七香成(図)で豊島竜王は一分将棋に入りました。藤井三冠は4分を残し、形勢も勝勢とみられてます。
先手がリードを広げる
図から▲4五歩△3六桂▲3五歩。▲4五歩は玉のコビンを開ける手で怖さもありますが、これが最も効果的な攻めでした。△3五同歩は▲3四歩が厳しいため、実戦は△3三玉と逃げましたが、3筋の勢力争いは先手が制しそうな勢いです。