カテゴリ「第35期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2022年7月14日 (木)

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広瀬八段は丸山九段の攻勢に対して攻め合いを選択しました。飛車、角、香の3枚が先手玉に照準を定めています。後手玉が決して安全とはいえないだけに、危険度を見切っている雰囲気を感じさせます。振り返ると、先手は盤面右側で20手以上も攻めの手を繰り出していました。後手は△5四角(88手目)、△8六歩(94手目)、△8三香(96手目)と少ない手数で効率よく急所をとらえていることがわかります。

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夕食休憩明けの再開から大きな動きがありました。上図の△2三歩(90手目)に▲1四飛が飛車切りの強襲です。以下△同香に▲3三銀と打ち込みました。部分的には厳しい攻めですが、先手は駒損で持ち駒も潤沢とはいえず、手が続くかどうかは不透明です。いずれにせよ、本局の命運を懸けた決断の攻勢です。

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18時、広瀬八段が14分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲丸山九段3時間56分、△広瀬八段2時間37分。夕食注文は丸山九段がヒレカツ定食と味噌汁(ふじもと)、広瀬八段がチキン山椒焼き弁当(鳩やぐら)。対局は18時40分に再開されます。

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今期の決勝トーナメントには、永瀬拓矢王座(1組優勝)、佐藤天彦九段(1組2位)、丸山忠久九段(1組3位)、山崎隆之八段(1組4位)、稲葉陽八段(1組5位)、広瀬章人八段(2組優勝)、森内俊之九段(2組2位)、高見泰地七段(3組優勝)、大橋貴洸六段(4組優勝)、佐々木大地七段(5組優勝)、伊藤匠五段(6組優勝)の11人が出場しています。3組以上の出場者はすべてタイトル経験者またはタイトル挑戦の経験があり実績十分。4組以下の勢いある若手がこうした上位者の壁を破れるか、という構図がひとつのポイントです。

【第35期竜王戦 決勝トーナメント】
https://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/35/hon.html

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丸山九段は▲5三桂成(75手目)とタダのところに桂を飛び込みました。歩を手に入れて▲3四歩と打つ狙いです。玉が安定していて猛攻をかけている先手が主導権を握っています。好調にも見えますが、気になるのは両者の消費時間の差。丸山九段が3時間以上使っているのに対し、広瀬八段は1時間少しで2時間以上の差がついています。広瀬八段の想定した範囲内で戦いが進んでいるのか、興味深いところです。

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丸山九段が攻め、広瀬八段が受ける展開になりました。14時25分、丸山九段が▲3五歩(67手目)と突っかけたところで広瀬八段が時間を使っています。3筋の歩は2枚とも盤上から消えたあとに△3四歩(60手目)、▲3六歩(61手目)と打ったもので、複雑な攻防を象徴しています。

今日の千駄ヶ谷は雨が降っています。将棋会館の向かいにある鳩森八幡神社では、新年に将棋堂で祈願祭が執り行われるのが恒例です。将棋会館の1階売店には、竜王戦の前身棋戦である十段戦の写真が飾られていました。1978年の第17期七番勝負、中原誠十段に米長邦雄八段が挑戦したシリーズ(肩書は当時)は、12月に第7局が将棋会館の特別対局室で行われました。結果は中原十段が勝って防衛。写真には米長八段が扇子の上で頬杖をつく姿が写っています。米長永世棋聖と丸山九段は佐瀬勇次名誉九段門下の同門で、一門のつながりが垣間見えるようです。

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2人の対戦成績は丸山九段3勝、広瀬八段7勝と広瀬八段がリードしています。竜王戦での対戦は今回が初めて。丸山九段は1組ランキング戦で久保利明九段、羽生善治九段に勝ち、永瀬拓矢王座に敗れて出場者決定戦に回りました。八代弥七段に勝って1組3位で決勝トーナメントに臨んでいます。広瀬八段は2組ランキング戦で藤井猛九段、三枚堂達也七段、都成竜馬七段、森内俊之九段を破って優勝。決勝トーナメント出場を決めました。

丸山九段は1組優勝5回、挑戦者決定三番勝負進出6回、竜王挑戦3回の実績がありますが、竜王戴冠には届いていません。広瀬八段は第31期に竜王初挑戦で羽生善治竜王(当時)を破り、栄冠を手にしました。

再開前、先に戻ってきたのは広瀬八段。定刻の12時40分を少し過ぎて丸山九段が戻りました。丸山九段は眼鏡をかけると、大きな扇子をふとももの上に立てて頬杖をつきます。集中するときのしぐさが見られました。2人とも朝に比べて表情の険しさが増している印象を受けます。

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12時、丸山九段が18分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲丸山九段1時間5分、△広瀬八段22分。昼食注文は丸山九段がレバニラ炒めとライス中(紫金飯店)、広瀬八段が豚生姜焼き弁当(鳩やぐら)。対局は12時40分に再開されます。

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