カテゴリ「第33期竜王戦七番勝負第5局」の記事 Feed

2020年12月 5日 (土)

03_034図は11時30分ごろの局面。ここまで進行について、阿久津八段に話を聞きました。
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豊島竜王は第1局と同じく早めに△7三桂と跳ねましたが、△3二金から△4一玉としたので超急戦にはなりませんでした。ただ、羽生九段が▲5八金や▲6六歩といった守りの手を指さず、積極的に▲3五歩△同歩▲4六銀と動いたため、超急戦とまではいきませんが結局は急戦調の将棋になりました。豊島竜王も8筋から追撃しているのが現在の状況です。
▲3五歩△同歩▲4六銀自体は類似形で指されており、本局との細かい違いを精査しながら進めていくことになります。▲3五銀と出られたあとが大事で、受け間違えると一気につぶされてしまうイメージがあり、後手はしばらく慎重な対応が求められます。(阿久津八段)
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豊島竜王は2018年に棋聖と王位、2019年に名人を獲得しました。過去3回の防衛戦は敗れています。今回は第4局を終えて3勝1敗とリードし、残り3局で1勝を挙げれば初の防衛成功という状況です。

羽生九段は2017年の第30期竜王戦七番勝負で竜王を獲得、永世七冠を達成しました。これによりタイトル獲得数は99期。その後は、名人戦、棋聖戦、竜王戦と3回のタイトル獲得の機会がありましたが、いずれも敗れています。今回は星取りでリードされていますが逆転を目指しています。

豊島竜王の初防衛、羽生九段のタイトル100期、いずれも今回が4回目の機会です。どちらが目標を達成しても宿願成就となります。

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ホテル花月園は1963年に開業。仙石原高原の高台、標高約800メートルの場所にあり、夏でも涼しく、天気がよければ富士山も見えます。大涌谷からの硫黄泉(2019年秋の台風の影響で配管の復旧工事中)と自家源泉を利用した温泉も魅力。1kmほど下ると芦ノ湖があり、そこからロープウェイで大涌谷に出ることもできます。
竜王戦の対局場となるのは初めて。今年2月には、読売新聞社主催の第44期囲碁棋聖戦第5局も開催されました。将棋では近年だと王将戦を何度か開催しています。

【箱根仙石原ホテル花月園】
https://hotel.kagetsuen.net/

Dsc_8552(ホテル外観)

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Dsc_8543(フロント。クリスマスツリーが飾られていた)

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Dsc_8550(芦ノ湖から徒歩10分ほどの場所にある)

Dsc_8563(芦ノ湖ではワカサギが獲れる。同湖のワカサギは宮中にも献上されるという)

03_013矢倉の出だしになりました。第1局(→棋譜)と同じく後手が急戦模様の駒組みをしており、図の局面まで同じ進行です。第1局は図から(1)△6四歩▲7九角△6五桂▲2四歩と進み、早々に銀桂交換になりました。本局は(2)△6二銀▲7九角△3二金で第1局と比べれば穏やかな進行です。

Dsc_8657(初手▲7六歩)

Dsc_8661(2手目△8四歩)

羽生九段は8時49分、豊島竜王は53分に入室しました。

Dsc_8575(中村修九段、木村三段が対局室で待つ。木村三段は駒をみがく)

Dsc_8597(羽生九段、豊島竜王の順に入室した)

Dsc_8635(先手は羽生九段)

Dsc_8617(後手は豊島竜王)

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1日目の朝を迎えました。箱根町の予想最高気温は11度。明け方は雨が降っていました。午後は晴れる見込みです。

09:00 対局開始
10:00 午前の茶菓
12:30 昼食休憩
13:30 対局開始
15:00 午後の茶菓
18:00 封じ手時刻

Dsc_8531(ホテル客室から撮影。霧が山々を包む)