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2019年7月 5日 (金)

20190705119「藤井よし」といわれた局面から久保九段が盛り返し、現局面は「優劣不明」との評判に変わりました。
棋士室では「面白い将棋」として、検討が盛り上がっています。

20190705115久保九段が▲4九金と引きました。この手を見た今泉四段は「あの角(3九角)が使えるんですよ!」とうれしそうな表情。次に▲6六角と出る味が絶品のようです。
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(次に▲6六角と出られるのが、とにかくうれしいと今泉四段)

20190705104棋士室では、この局面で形勢を「後手有利」と判断しました。
後手は次に△7九馬が絶好の馬寄りで、先手は金取りをうまく受ける術がありません。
▲4六香と反撃しても△5四竜▲4三香成△同竜で、後手玉は再び堅さを取り戻します。
Img_8504(優位をものにできるか)

2019070587_3久保九段は▲5九桂と自陣桂を打ちました。4筋を補強して、何が何でも▲4八歩と打とうという一手です。
棋士室の見解では、△4五竜▲5九桂のやり取りを見て「互いに4筋が大事だと思っている。読みの波長があっている」といわれています。
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(勝負手が生きるか、藤井聡七段)

2019070583久保九段が▲6八金と寄ったところです。検討では△7七角成▲同桂△4八銀が調べられました。そこで稲葉八段は▲4四歩の攻め合いを示します。以下、△同銀に▲4三歩(変化図)が継続手。後手の囲いを乱し、▲8一竜を効果的にしようという攻めです。
2019070589Img_8543(反撃を楽しみに、丁寧に藤井聡七段の攻めを受け止める久保九段)

2019070580藤井聡七段は5分の考慮で、桂を犠牲に1歩を補充しました。棋士室では「勝負手」と見られています。
「桂! 暴れ出したねえ。それとも優勢と見て差を広げにいっているのかな?」(脇八段)
Img_8719(検討も熱を帯びる)

2019070577この局面で「後手がちょっと急かされているのかな」とつぶやいたのは、杉本昌八段。▲5七同角以下、△5三竜▲6八金△5六銀▲3九角△7七角成▲同桂△4八銀という強襲が検討されました。しかし、▲同角△同歩成▲同金で、後手の攻めが細いという見解です。
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201907057320時30分の局面。藤井聡七段が20分を超える長考をしています。
棋士室の検討陣は、△5三竜を示しています。以下、(1)▲4五歩△5七歩成▲7九角△4七歩▲5四歩△同竜▲5五歩△同角▲5七角△7七角成▲同桂△5七竜▲4六角(変化図)が一例として挙げられました。(2)▲5八歩と受ければ、△4六銀と取れます。2019070587_2
現局面が銀取りなだけに気づきにくい一着ですが、面白い発想のようです。
藤井聡七段は22分考えて、△4七歩と垂らしました。2019070574▲同銀なら△5七歩成が銀に当たります。
残り時間は、▲久保九段41分、△藤井七段44分です。

Img_8718(いつの間にか外は真っ暗)

20時頃、大盤解説会場では杉本昌八段が特別ゲストとして登場しました。
Img_8713(杉本昌八段。締めているネクタイはファンの方からのプレゼントだという)
Img_8715「今日はお弟子さんの応援ですか、杉本先生」(井上九段)
「今日は仕事で連盟にきました」(杉本昌八段)
「そういえばその仕事、私も一緒やったわ」(井上九段)