カテゴリ「第32期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2019年10月11日 (金)

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12時30分、図の局面で豊島名人が27分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲豊島1時間44分、△広瀬1時間5分。昼食は広瀬竜王が鶏照り焼き重、豊島名人が国産牛の網焼きステーキ重、温野菜添え。対局は13時30分に再開されます。


Img_3341_2 (鶏照り焼き重)

Dsc_9481_2 (国産牛の網焼きステーキ重、温野菜添え、碗はお吸い物)

午前の控室、いまは中村太地七段と高見泰地七段がいます。高見七段はNHKの「将棋フォーカス」の司会を務め、中村七段は同番組で「太地隊長の角換わりツアー」という講座を担当している縁があります。

【竜王戦第1局、序盤からハイペースで進む(動画あり)|読売オンライン】
https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/20191011-OYT1T50198/

1011_063_2図は12時ごろの局面。すでに63手まで進んでいますが、本格的な戦いはまだ始まっていません。ここからは中盤戦入りを見据えて、手の進みが遅くなると思われます。どちらが主導権を握るのかが午後の戦いに注目ポイントです。


Dsc_9472 (継ぎ盤の前で午前の進行を振り返る)

Dsc_9473 (高見七段は竜王戦プレミアムに出演する)

竜王戦プレミアムのトークショーは、島九段から佐藤康九段に交代しました。佐藤康九段は自身の経験から、「いちばん調子のいい棋士が挑戦者になる。一方、タイトル保持者は第1局、第2局と対局を重ねながら調子を上げていく」と話していました。

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トークショーが始まる前に、第7期竜王戦七番勝負について佐藤康九段に聞きました。

竜王戦七番勝負が竜王-名人の対決となるのは今回で5回目。過去の戦績は2勝2敗です。1回目は1994年の第7期竜王戦、前年に初タイトルとなる竜王を獲得した佐藤康光竜王に、五冠を保持していた羽生善治名人が挑戦しました。第1局のパリ対局から羽生名人が3連勝、佐藤竜王も2勝を返しましたが、第6局が決着局となり、羽生竜王名人(六冠)が誕生しました。羽生七冠が誕生したのは、その2年後の1996年です。

「当時は羽生さんがタイトル戦で勝ち続けていました。一方、私は竜王を獲ったあと、それほど実績を挙げていませんでした。タイトルを獲ってから生活パターンが変わり、勝率も将棋の精度も落ちていました。ですから防衛というよりも挑戦する気持ちでしたが、竜王と名人という最高峰の戦いですから、それに恥じない戦いをしようという気持ちはありました。結果は残念でしたが自分のベストは尽くせたと思います。今回、広瀬さんと豊島さんがどういう戦いをするのか、私も注目しています」(佐藤康九段)

最近のタイトル戦は、挑戦者の奪取が続いています。2018年度に豊島名人が棋聖を奪取して以降、11回のタイトル戦で防衛したのは渡辺明棋王だけです。あらためて防衛の難しさを感じます。広瀬竜王は2011年度の第52期王位戦に続く、2度目の防衛戦で初の防衛を目指します。豊島名人は挑戦者が奪取する流れに乗って二冠復帰なるか。

2018年
 名人 防衛
 棋聖 奪取(豊島棋聖初タイトル、タイトル保持者が8人に)
 王位 奪取(豊島将之二冠達成)
 王座 奪取
 竜王 奪取(広瀬竜王誕生、羽生善治九段が無冠に)
 王将 奪取(渡辺明二冠達成)
 棋王 防衛
2019年
 叡王 奪取(永瀬拓矢叡王初タイトル)
 名人 奪取(豊島将之三冠達成)
 棋聖 奪取(豊島名人が棋聖を失い渡辺明三冠達成)
 王位 奪取(豊島名人が王位を失い一冠に)
 王座 奪取(永瀬拓矢二冠達成)
 竜王

両者の本年度成績を紹介します。(未放送のテレビ棋戦を除く)

【広瀬章人竜王】
本年度は8勝3敗、勝率は0.727。4月は対局がつかず、5月も2局だけ。対局不足を懸念する声もありましたが、7月以降は7連勝するなどギアを上げてきました。第40回JT将棋日本シリーズでは決勝進出も決めています。直近の対局(今月9日)では敗れているものの、7連勝の最後に豊島名人を破っているのは好材料です(今月3日)。

【豊島将之名人】
本年度は25勝12敗、勝率は0.676。対局数と勝数は本年度1位。竜王挑戦、第27期銀河戦優勝の一方、棋聖と王位のタイトルを失うなど、波の大きい一年でしたが、この年度末に竜王名人の二冠達成なるかという大きな一番を迎えました。過去に竜王名人を達成したのは、谷川浩司九段、羽生善治九段、森内俊之九段の3人しかいません。

広瀬竜王と豊島名人の対戦成績は、広瀬8勝、豊島7勝です。2018年半ばまでは豊島名人が押していましたが、ここ最近の4連勝中で広瀬竜王が逆転しました。その全対局(並びは、勝者、棋戦、総手数、戦型)を紹介します。

2011年
 豊島 第61期王将戦挑戦者決定リーグ戦 93手 四間飛車
2012年
 広瀬 第53期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 135手 四間飛車
2013年
 豊島 第72期順位戦B級1組 186手 角交換その他
2014年
 広瀬 第55期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 107手 横歩取り
2015年
 広瀬 第41期棋王戦本戦 106手 矢倉
2016年
 豊島 第57期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 101手 角交換腰掛け銀
 豊島 第37回JT将棋日本シリーズ 107手 角交換腰掛け銀
2017年
 豊島 第3期叡王戦段位別予選八段戦 82手 その他の戦型
2018年
 広瀬 第76期順位戦A級 93手 横歩取り
 豊島 第76期順位戦プレーオフ 129手 角交換腰掛け銀
 豊島 第26期銀河戦本戦Eブロック 123手 その他の戦型
 広瀬 第31期竜王戦ランキング戦1組決勝 133手 角交換腰掛け銀
 広瀬 第68期王将戦挑戦者決定リーグ戦 133手 角交換腰掛け銀
2019年
 広瀬 第77期順位戦A級 90手 角交換腰掛け銀
 広瀬 第69期王将戦挑戦者決定リーグ戦 89手 矢倉(10月3日)


両者の対戦で唯一の竜王戦を棋譜で紹介します。昨年のランキング戦1組決勝。豊島名人が攻めをうまく受け止めましたが、広瀬竜王が隙をついて逆転に成功。豊島名人も離されることなく熱戦になりましたが、最後は広瀬竜王が押し切りました。

第31期竜王戦ランキング戦1組決勝
平成30年 5月25日 於・東京・千駄ヶ谷・東京将棋会館

持ち時間      ▲八段 広瀬 章人
各5時間      △八段 豊島 将之

▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △3二金 ▲2五歩 △8五歩
▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △7七角成▲同 銀 △2二銀
▲4八銀 △3三銀 ▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △6四歩
▲7八金 △6三銀 ▲6八玉 △4二玉 ▲3六歩 △7四歩
▲3七桂 △7三桂 ▲2九飛 △8一飛 ▲4八金 △6二金
▲9六歩 △1四歩 ▲1六歩 △5四銀 ▲4五歩 △4四歩
▲同 歩 △同 銀 ▲4六歩 △3三銀 ▲9五歩 △4四歩
▲5六銀 △3一玉 ▲7九玉 △6五銀 ▲5五銀 △4三角
▲4五歩 △7六銀 ▲同 銀 △同 角 ▲6八玉 △8六歩
▲同 歩 △8五歩 ▲4四歩 △8六歩 ▲8八歩 △5四歩
▲4三銀 △5五歩 ▲3二銀成△同 玉 ▲6六金 △5四角
▲5五金 △5三銀 ▲4五桂 △4四銀左▲5三桂成△同 銀
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三銀 ▲2九飛 △4七歩
▲3八金 △2四歩 ▲4四歩 △4六桂 ▲4七金 △3八銀
▲4六金 △2九銀不成▲5四金 △同 銀 ▲4三銀 △同 銀
▲同 歩成△同 玉 ▲4四歩 △5三玉 ▲5四銀 △4四玉
▲4五金 △3三玉 ▲4四角 △3二玉 ▲6二角成△3八飛
▲5八桂 △4七銀 ▲4九金 △5八銀成▲同 金 △7六桂
▲7七玉 △7五金 ▲4三銀打△2二玉 ▲6六角 △同 金
▲同 玉 △8五飛 ▲4四馬 △1三玉 ▲1五歩 △3六飛成
▲4六金打△4五飛 ▲同 馬 △同 竜 ▲同 金 △2八角
▲1四歩 △同 銀 ▲2三飛 △同 玉 ▲3四金 △2二玉
▲3二飛
 まで、133手で広瀬 章人八段の勝ち。
(消費時間=▲4時間42分、△4時間59分)

本日のスケジュールは下記のとおりです。

9:00 対局開始
10:00 午前のおやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
15:00 午後のおやつ
18:00 18時の時点で手番の棋士が封じ手を行う

Dsc_9539(写真は本日12時ごろに撮影。この時点では曇りで風も弱い)