カテゴリ「第29期竜王戦七番勝負第3局」の記事 Feed

2016年11月 8日 (火)

今年7月に亡くなった英文学者・翻訳家の柳瀬尚紀さんは観戦記者としても知られ、竜王戦でも観戦記を執筆していました。七番勝負で滝の湯を訪れたことがあり、記念に春と冬の2つのいろは歌を贈っています。館内には春のいろは歌が書にされて飾られていました。柳瀬さんの直筆も見ることができます。女将の山口隆子さんによると、書は女将の知人にあたる書家の松田栄子さんが手がけたもので、100枚以上書いたうえで、最初の1枚を完成品とされたそうです。冬のいろは歌の書は「未完成」とのこと。

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現地大盤解説会は多くの来場者でにぎわっています。解説の千葉六段は「現代は堅さより攻めを重視するようになりました。多少玉が薄くても、先攻が大事という考えです。いままで無理攻めと思われていたものが実はそうではなかった、というケースが増えてきました。そういう時代に、こういうじっくりした将棋は珍しいです」と話していました。

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15時、対局室におやつが運ばれました。渡辺竜王はイチゴのショートケーキ、ホットコーヒー。丸山九段はチョコレートケーキ、生キャラメルチョコレート、アイスティー、カロリーメイト(飲料タイプ)3本。ショートケーキは渡辺竜王の要望で、イチゴの数が通常の1個から2個、大きさも5割増しほど大きめに作られているそうです。チョコレートケーキは「大人のショコラ」という名前で、甘さ控えめが特徴とのこと。1日目とともに、ケーキは滝の湯の近くにある洋菓子屋「ボンむらやま」のものです。

※8日23時追記:渡辺竜王の注文は「イチゴのショートケーキを」とのことで、サイズを大きめに変えたのは滝の湯側の配慮とのことです。

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2日制の対局では公平を期すために、指し掛けの前に封じ手を行います。封じ手の定刻で手番の対局者が、指す手を決めて別室に移動。封じ手用紙に赤いペンで動かす駒に印をつけ、矢印で行き先を示します。持ち駒を打つ場合は持ち駒の駒に印をつけます。用紙を封筒に入れて封をし、これを2通作成。立会人が2日目まで預かり、対局相手に知られないようにします。

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控室には作家の柚月裕子さんが訪れています。柚月さんは「読売プレミアム」で『盤上の向日葵』を連載中。将棋を題材にしたミステリー小説で、作中では竜王戦をモチーフにした架空の棋戦「竜昇戦」の対局が描かれています。控室では佐藤康九段が継ぎ盤の前に促して「どうぞ指してください」。柚月さんが自然に数手進めると、佐藤康九段が「強い」と驚いていました。

【盤上の向日葵 : 小説 : 読売プレミアム】
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/list_HIMAWARI

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両対局者は13時30分の再開直前に、渡辺竜王、丸山九段の順で対局室に戻りました。2日目の午後とあって、両者とも険しい表情。ピリピリとした緊張感に包まれていました。

対局室の床の間に飾られている掛け軸は、読売書法会参事の植松弘祥さんの手によるもの。天童の隣町、東根市を拠点に全国的に活躍する漢字書家です。掛け軸に書かれた言葉は「蓬山楼閣五雲深」。蓬莱山の高楼に春が訪れて、五色の雲が深く立ち込めている、という情景を描いたものです。

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12時30分、図の局面で昼食休憩に入りました。昼食は渡辺竜王が鶏うどん、丸山九段が鶏そばとハンバーグ。丸山九段はハンバーグのおかわりを注文したとのこと。デザートのフルーツには、天童市特産のラ・フランスがありました。対局は13時30分に再開されます。

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現地では朝から大盤解説会が始まっています。トップバッターは佐藤康九段と高浜女流2級。佐藤康九段は初手から封じ手までを解説し、「私も何度か渡辺さんとタイトル戦で戦っていますが、封じ手は意表を突くことが多いです」と話していました。途中で解説者が広瀬八段に交代しました。

解説会場の前には、本局の開催にあわせて「スター・ウォーズ」のキャラクターが描かれた駒が展示されています。製作は天童市の駒師、高橋稚山さん。宇宙を模した盤の中央には「デス・スター」。駒の裏は成駒の字が彫られています。

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朝の控室の様子を振り返ります。広瀬八段と千葉六段が継ぎ盤を挟んで検討中。佐藤康九段は口頭で検討に加わり、高浜女流2級がその様子を見守っていました。

控室で使われている駒は月山師作、淇洲書の彫駒。淇洲書は山形県酒田市の竹内淇洲が手がけた書体で、淇洲書の駒を贈られた関根金次郎十三世名人が常勝を誇ったことから、「関根錦旗」の異名もあります。なお、酒田市出身の現役棋士には阿部健治郎七段がいます。

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天童市では毎年春、風物詩の人間将棋が行われます。甲冑姿の駒武者が、太鼓の音とともに盤上を動きます。渡辺竜王は対局経験あり。佐藤康九段は解説者として出演しました。広瀬八段は今日のニコニコ生放送に出ている佐藤天名人と2012年に対局しています。会場は舞鶴山山頂。春には満開の桜が見物客を迎えます。滝の湯からは徒歩数分で舞鶴山のふもとに着き、つづら折りの道をしばらく登ると山頂が見えてきます。いまの時期は紅葉が目に鮮やか。モミジは天童市の市の木に指定されています。

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