カテゴリ「第29期竜王戦七番勝負第1局」の記事
戦型は角換わり
▲2六歩△8四歩と意外な出だしで始まりましたが、戦型は角換わりになりました。解説の阿部隆八段は「相腰掛け銀になりそうですね」と話しています。
対局開始(3)
対局開始(2)
対局開始(1)
丸山九段の先手で対局が始まる
第29期竜王戦七番勝負第1局1日目
おはようございます。本日より竜王戦第1局が行われます。
立会人は井上慶太九段、解説は阿部隆八段、記録係は中脇隆志初段(森けい二九段門下)。
第1局のため、先後は振り駒で決まります。
本局の模様はニコニコ生放送で生中継されます。第1局1日目は塚田泰明九段、塚田恵梨花女流2級の親子が出演します。
本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
【本日のスケジュール】
09:00 対局開始
10:30 おやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
15:00 おやつ
18:00 封じ手
前夜祭(7)
(前夜祭の最後に、抽選会が行われた)
(渡辺竜王直筆色紙が当たったのは小さな男の子)
(ここからは第1局のために作られた竜王戦記念扇子に棋士が直筆サインを入れたものがプレゼントされる。明日、天龍寺で行われるイベントに参加する方にもこの扇子が記念品として手渡される)
(青野照市九段「凌」)
(福崎九段「先生、それいくらで売りますの?」 青野九段「値段はつきません」 福崎「時価ですね!」)
(佐藤康光九段「凛」)
(谷川浩司九段「翔」。扇子を制作した京扇子店の方が当選し、谷川九段は「お返しします、と言えばいいのでしょうか」と言いながらプレゼントした)
(最後に渡辺明竜王「志」がプレゼントされた)
青野照市・日本将棋連盟専務理事の閉会のあいさつ
「本日は多数お越しいただきましてありがとうございました。まず前夜祭が無事に終わりました。考えてみれば、人の縁は素晴らしいものだと思いました。お誘いを受けて講演会に行ったところ、先ほど乾杯のご発声をいただいた安永師の講演でして、そのときに天龍寺で対局ができないかなという話になって、それからとんとん拍子に進んだところ、読売新聞社さんにもご快諾いただきました。ありがとうございます。このような素晴らしいパーティーができ、明日から天龍寺で対局ができるということで、京都の皆様にもいろいろなことで今回お世話になりました。
天龍寺には『龍』が入って竜王戦にふさわしく、またこれは個人的なことですが天龍寺の決戦の対局者が私の師匠(廣津久雄九段)の師匠にあたる花田長太郎(当時八段)、これはどう考えても実現する一手だと思っていたところ、実現の運びになりました。明日から2日間、素晴らしい対局が繰り広げられます。明日は予約された方だけですが、明後日の大盤解説会はひとりでも多くの方にお越しいただければと思います」
これで前夜祭の紹介を終わります。明日の対局もどうぞお楽しみに。
前夜祭(6)
対局者が退室したあと、出演棋士が戦型予想のトークショーを行いました。
(まずはこのふたり)
(立会人の井上慶太九段)
(解説の阿部隆八段)
井上 将棋の解説は阿部さんが棋界No.1やと思っています。
阿部 いやいや。本当はもっと若くて強い棋士がいいと思うのですが、今回は最後だと思って解説を引き受けさせていただきました。
井上 天龍寺の決戦は80年前なんですね。
阿部 先ほど今回の観戦記者である小暮克洋さんがお持ちだった、当時の観戦記を見せていただきました。
井上 それは私も見てみたい。南禅寺の棋譜は見たことがありますが、天龍寺の棋譜は見つからなかったんです。
阿部 今日見せていただいた印象では熱戦で、いい将棋だと思いました。現在とは感覚が違いますが、阪田先生の意地、人間らしさが棋譜から垣間見られて胸が熱くなりました。菅谷北斗星さんという昔の名観戦記者の文章でした。
井上 南禅寺と天龍寺の対局が新聞掲載が爆発的な人気を呼んで、観戦記が新聞にたくさん掲載されるようになったと聞いています。今回もそういう対局を期待しています。
阿部 丸山さん、竜王戦は今回で3回目の挑戦だそうです。
井上 3回目なんやねぇ。
阿部 同世代としましてはぜひ頑張ってほしいと思いますが、解説の立場なので公平に。でも個人的には丸山さんに頑張ってほしい。井上さんもそういうのはありますか。
井上 私はね、どっちでもええんですわ。いい対局になってほしいなあと。今回第1局で振り駒ですよね。先後によって戦法も変わってくると思うんですが、そういうところはどうですか。
阿部 丸山さんは先後問わず、角換わりを得意とされていますよね。それを渡辺さんが受けて立つかどうか。後手だと横歩取りで変化するかですが。
井上 阪田三吉先生が一手損角換わりを指されていて、現在それを丸山さんが得意にされています。丸山さんが一番阪田先生の将棋を受け継いでいると思います。こどものときに阪田先生の棋譜を見たときに「なんか損やなぁ」と思っていて、解説にも「これは棋理に反する」と書かれていましたが、いまは普通に指されていますね。
阿部 私も最初に淡路仁茂先生が指されたときに、「先生、これだけはやめていただけませんか」と失礼なことを言ってしまいました。
井上 失礼なこと言いましたか。
阿部 「この戦法だけはやめていただけませんか」と言った覚えがあります。
井上 よぉ言いましたね。
阿部 若かったもので。大先輩に向かって失礼なことを言ってしまったなあと思います。
井上 それだけ違和感があったということですね。
阿部 画期的でしたよ。いまはなんでもありで、序盤に関してはいろいろな指し方があります。天龍寺の対局では初手▲7六歩に△1四歩と阪田先生が指されたんですね。
井上 有名ですよ。「阪田三吉、端歩を突いた~」言うて。
阿部 小唄になったんですかね。
井上 じゃあ歌ってください。
阿部 いやいや、先生もいまちょっと歌ってたじゃないですか。丸山さんはさすがに端歩は突かないと思いますが、一手損角換わりはあると思います。後手ならまず間違いない。大きな対局だからといって指し方を変える棋士ではなく、自分のスタイル、信念を貫く棋士ですから。
井上 渡辺さんはどうですか。
阿部 渡辺さんはどうでしょう。受けて立つタイプですがオールラウンドプレーヤーですので、横歩取りや、もしかしたら振り飛車もあるかもしれませんよね。第1局だから手探りの部分もありますし、どうなのでしょう。
井上 渡辺竜王が先手なら一手損角換わりですか。100パーセント。
阿部 これは100パーセントでいいのではないでしょうか。
井上 で、丸山さんが先手のときですよね。
阿部 角換わり腰掛け銀を受けて立つと思いますが、横歩取りもあります。
井上 私はいま振り飛車と言われて、ピンときました。渡辺さんに振り飛車を指してほしいですね。
阿部 今日お越しになっているファンの方も振り飛車を指されるという方が多いと思いますし、振り飛車を見たいという方も多いでしょうね。
井上 今日は振り飛車の名手の室谷さんが来ているでしょう。室谷さんの顔を見て「振り飛車で行こう」と思ったと予想します。
阿部 ほんまですか、それ。でも2日間楽しく、いい解説といい将棋をお届けしたいと思います。
井上 今回、1日目は対局場を見ていただいて、対局者と同じお昼を食べていただくというゴージャスな企画もありますし、2日目はこのホテルで解説会があります。いろいろな形でお楽しみいただきたいと思います。
阿部 明日は豪華な解説陣がお越しになりますし。
井上 もう来てはりますよ。
阿部 私の兄弟子(福崎文吾九段)と弟弟子(佐藤康光九段)です。室谷さんもいらっしゃいますし。
井上 私らはもうよろしいですかね。ありがとうございました。
(トークショー第2弾は明日以降のイベントに出演する佐藤康光九段、福崎文吾九段、室谷由紀女流二段)
(戦型予想を力説する佐藤康光九段)
福崎 明日ですけど、えーっと、たぶん角道開けると思いますけどねぇ。
佐藤 いやいや。
室谷 そのひとことでおしまいですか。
福崎 あとは二歩を打たないほうが勝つね。室谷さんはどうですか。
室谷 やっぱり一手損角換わりが濃厚かなと思います。
福崎 一手損して、角を換える。佐藤さんはどうですか。
佐藤 丸山さんって、角を換えるのが大好きなんですよ。先手でも後手でもとりあえず角交換。
福崎 あっ、そうそう。僕ね、前に最初、飛車と角を入れ替えて置いていたのに、角で飛車を取ってきましたよ。
佐藤 えっ、えっ。ちょっと待ってください。……あ、いや、私は丸山さんと歳が近いのでよく対局しているのですが、プロになって30年で、ずっと角を換えるのが好きなんです。相当珍しい人ですよ。先手でも後手でも角を換えますから。駒台に角がないと落ち着かないのかと思います。角換わりが予想されますが、私は大穴で行きます。渡辺さんが後手番になったら、阪田流向かい飛車です。
室谷 おお。
佐藤 渡辺さん、1ヵ月くらい前に阪田流向かい飛車を指しているんです。しかも佐藤天彦名人相手に勝ったんです。阪田流を使って竜王が名人を倒したという。
福崎 本当ですか、それ。
佐藤 えっ。あの、先生、勉強していますか。
福崎 どんなオチや。
佐藤 まあ、そういう対局がありまして、天龍寺に向けた布石じゃないかと思いました。渡辺さん、阪田流を指したのは初めてだったんですよ。
福崎 今日は佐藤さん、元気やね。室谷さんがこれからまとめに入ります。
室谷 戦型は、佐藤九段は阪田流向かい飛車とも言われましたが、角換わりになるだろうと。阪田流も角を換えますから、まあ角を換える将棋にはなるということですよね。
福崎 佐藤さんが一番将棋を知っているということで、まとめようかな。