カテゴリ「第27期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2014年7月24日 (木)

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▲行方-△阿久津戦は盤面の右半分で激しい戦いが起こっている。後手は角の利きを軸に攻め、先手はと金を駆使して後手の飛車を目標にする。図から△2三飛▲3五桂△3六歩▲3八金△2八角成▲同金が進行の一例。後手は堅い美濃囲いだが、先手は端を詰めて▲8五桂を切り札にしている。どちらが寄せ合いで優位に立つのか、先の見えない難しい戦いだ。

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森内俊之竜王への挑戦を目指す第27期竜王戦決勝トーナメントの▲屋敷伸之九段(1組2位)-△糸谷哲郎六段(3組優勝)戦は21時30分、118手で糸谷六段の勝ちとなりました。消費時間は▲屋敷4時間33分、△糸谷4時間17分。勝った糸谷六段は次戦で阿久津主税八段(1組3位)-行方尚史八段(2組優勝)戦の勝者と対戦します。

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▲屋敷-△糸谷戦は佳境を迎えている。屋敷九段が▲4二角成(図)と飛車を取って迫ったところだが、△同金のとき後手玉に詰みなしと見られている。後手玉が詰まなければ、先手玉は受けなしの形。糸谷六段が猛攻をかけて逃げ切ったか。

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▲屋敷-△糸谷戦は終盤戦に入ってからじっくり時間を使う流れになった。すでにどちらかに形勢が傾いていてもおかしくない局面だ。図の先手玉は迫られているが、まだ詰めろではない。▲2六角などで後手玉に反撃が回る形になっている。形勢のバロメーターとして知られる金銀の枚数比は▲1:△7で、これは一般的には「後手勝ち」となる。本局はどうだろうか。

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▲行方-△阿久津戦は中盤戦で長い時間が経過している。行方八段は▲3六銀(図)と上がって後手の攻め駒にプレッシャーをかけた。先手陣は薄いが、歩得で金銀を前線に送り出している。後手陣はコンパクトで堅いが、持ち歩がなく金銀も低い位置だ。先手の押さえ込みにどう対抗していくか、押さえ込みが成功するか否かがポイントになる。先手の行方八段の持ち時間は1時間を切った。

18時10分、夕食休憩に入った。外では一時雨が激しく降り、雷がゴロゴロと鳴っている。夕食は4人とも注文なし。▲行方-△阿久津戦が昼食休憩明けからほぼすべての手に考慮時間がつき15手しか進まなかったのに対し、▲屋敷-△糸谷戦は60手近くも進んだ。対局室では糸谷六段が盤の前に座り、盤面に集中していた。対局は19時に再開される。

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▲屋敷-△糸谷戦の超スピードの進行をよそに、隣の▲行方-△阿久津戦はゆったりとした流れだ。先手の行方八段は▲7七金から▲6六金と繰り出し、後手の大駒を圧迫する構えをとった。ひねり飛車対策として古来からある「タコ金」という指し方だ。角の利きをヒモに、金を空を泳ぐタコに見立てたことからこの名がつけられている。当然ながら守りが薄くなるので、慎重な指し回しが求められる。

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▲屋敷-△糸谷戦は、まるで持ち時間の違う将棋のようにハイペースで進み、終盤戦になだれ込んでいる。後手の糸谷六段は猛攻をかけ、先手玉を下段に落として寄せに持ち込もうとする。屋敷九段も糸谷六段の早指しに呼応するかのように指し手を返し、局面が進む。先手が余して反撃を決めるのか、後手が寄せきるのか。