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2013年8月 6日 (火)

郷田九段の卓越した大局観が発揮された本局。山崎八段は独自の作戦が失敗したことに落胆していたが、「愛着がある。捨てられない」と話していた。

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渡辺明竜王への挑戦を目指す第26期竜王戦決勝トーナメントの郷田真隆九段(1組4位)-山崎隆之八段(1組5位)戦は20時50分、85手で郷田九段の勝ちとなりました。消費時間は▲郷田4時間50分、△山崎3時間36分。勝った郷田九段は挑戦者決定戦進出をかけて佐藤康光九段(1組優勝)と対戦します。

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郷田九段は敵陣にと金を作り、着実に後手玉を追い詰めている。だが山崎八段も△8六歩(図)と食らいつく。以下▲9八銀△7六銀(A図)が予想される展開。

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この局面はまだ詰めろではないが、後手の角が動くと△8二飛!の筋が生じて先手玉が詰めろになる可能性がある。山崎八段は罠を張って待ち構えている。

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先手に攻めの手番が渡った。図では▲3三歩成△同玉▲2三歩成△同歩▲2四歩(A図)や、▲2三歩成△同歩▲2二歩(B図)といった攻めがある。

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A図で△同歩は▲同角が厳しい王手になる。

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B図は△同玉と取らせて危険地帯に誘う手筋。A図、B図どちらも持ち歩を生かした攻めだ。
19時40分ごろ、対局室カメラにはうつむきがちの山崎八段が映っている。

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19時、対局再開。山崎八段は△7六歩▲同銀△7五歩(図)と玉頭に手をつけた。嫌みをつけてから3筋に手を戻すことで、反撃の味を作って一方的に攻められないように備えている。実戦は▲8七銀に△7四桂!と進んだ。

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異端の桂。「桂は控えて打て」というが、これは次に△6六桂と跳ねても迫力がない。歩がたくさんあれば△8五歩▲同歩△8六歩が厳しい筋だが、現状は歩切れだ。

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山崎八段は△7五歩(図)と先手陣をひっかいた。後手は桂得なのだが、思いのほか手が難しい。たとえば▲同歩で手が返ってくるとどう指すのか。

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郷田九段は桂損でも指せるという判断のもとに、左図から▲4五銀と出たことになる。それが正しいなら、なんという慧眼だろう。山崎八段にとっては本局の進行で悪くなるなら、△5五歩と打った手が「お手伝い」ということになる。それだけは許せないはずだ。

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一直線の順に進んでいる。先手は2筋を取り込み▲2五桂(図)と跳ねたが、△4五歩▲3三桂成△同桂▲4五歩と進むと先手桂損だ。後手の歩切れが先手の頼みの綱。駒損を挽回することはできるだろうか。実戦は△4五歩▲3三桂成△同金▲4五歩(下図)と進んだ。

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先手は桂損で玉も堅くはないが、後手陣がまとめにくいことが主張だ。後手は3筋が手薄く▲3五歩△同歩▲3四歩と玉頭を狙っていく手が効果的になる。▲2三銀と打ち込む強手もありそうだ。後手としては自陣に手を入れて攻めに備えるか、攻め合いに持ち込むか。方針が問われる局面になっている。

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山崎八段は△5五歩と位を押さえた。先手が銀を引くなら、持久戦にして満足という狙いだ。郷田九段は▲4五銀(図)と気合よく前進。決断の一手だ。というのも、△6三銀と引かれると次に△4四歩で銀が取られる格好になってしまうからだ。はたして山崎八段はすぐに銀を引いた。先手は銀を取られる前に急いで攻めなければならない。うまい手段はあるだろうか。
先手はものすごく忙しいが、いいパンチが入れば後手もダウンしてしまう。どちらにとっても怖い局面。この攻めの成否が形勢を分ける。勝負どころを迎えている。

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