カテゴリ「第23期竜王戦七番勝負第2局」の記事 Feed

2010年10月27日 (水)

二日目の昼食注文は、渡辺竜王が「かき揚げそば」、羽生名人が「川俣シャモの親子丼」。

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(渡辺竜王の注文はかき揚げそば)

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(羽生名人の注文は川俣シャモの親子丼)

(文)

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12時30分、この局面で羽生名人が16分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲羽生5時間4分、△渡辺5時間39分。再開は13時30分より。

【棋譜コメントより】
「ええっ、たたいたの!?」と島九段が驚きの声を上げた。△9七歩と垂らす手を検討していた。以下(1)▲同香なら△9五歩▲同歩△9六歩▲同香△8四桂。(2)▲6四馬から▲9七馬。渡辺は歩切れになるが、(1)の変化に持ち込もうとしている。
島九段「これって▲同玉はないんですかね」
森下九段「うーん、島流ですねぇ」
島九段「▲9八同玉の後の狙いは▲8八玉です」
島九段、森下九段は▲9八同玉で、後手がどう攻めるのか不明という。

(文)

Ryuou2010102673 「とても難しい局面になりましたが、第一感は(1)△1七香成です。▲6四馬に△7三歩▲5五歩という感じでしょうか。私は△1七香成以外もあると思います。(2)△7三歩も有力です。▲6四馬に△5三銀(参考図)と馬に当てます。
Ryuou20101026_sanko10 参考図に▲7五馬には△6二飛、▲4六馬にも△6二飛です。後手もやれるような気がしてきました。△7三歩が有力だと思います。(現在の形勢について)難しい質問です。封じ手▲1三桂成の局面は先手がかなり余裕がある形勢かと思いました。やはり△3四香が光ってます。現在もまだ先手が少し良いと思うのですが、先手は△3三玉~△2四玉という展開はなるべく避けたいので、先手が少し忙しくなっているかもしれません。現段階ではやや先手持ちです。
少し時間がたって、分かってきたように思います。最初に言った(1)△1七香成は▲5五歩までの変化で、これは先手が得です。やはり単に(2)△7三歩が最有力です。▲6三馬は△5三金から馬が取れます。△1七香成と比べると、こちらが大分後手にとって得な変化です。△7三歩以外もあるかもしれませんが、渡辺竜王は長考するのではないでしょうか。本当に興味深い局面です」(飯島七段)

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封じ手開封から2時間が経過した。上図は羽生名人が▲4一角と打った局面だ。
森内九段はこの局面を次のように判断する。

「後手は入玉狙いですが、▲1三歩成としてくれないので、玉が上に行けずに困りますね。▲4一角に△3三銀としたいのですが、▲2九飛のときに味のいい受け方が難しいです。△2五銀なら▲7四角成~▲6四馬~▲5五歩を狙います。この変化は△3三銀が5筋を薄くして、マイナスになっていますね。1四の歩は△2五桂と跳ねられても、拠点として働いているので、すぐに触らず、ベストのタイミングで▲1三歩成としたいです。総合的に判断して、先手良しと思います」【森内俊之九段、棋譜コメントより】

棋譜解説チャットの飯島七段は次のように語る。

「(1)△3一金と角に当てて受けたいのですが、▲7四角成で次に▲3六歩という攻めの手段もできています。以下△同成銀には▲1三歩成△同玉▲3六飛です。そこで(2)△1二歩▲7四角成△2五桂▲2九飛△2七桂がまず予想されます。これは後手玉が△3三玉~△2四玉と入玉を狙う展開になる可能性が高いです。(2)の変化では△2五桂と逃げられてしまいましたから、先手も△1二歩には▲7四角成でなく、▲1三歩成△同歩を利かしてから▲7四角成が一番良いのではないでしょうか」(飯島栄治七段)

実戦は飯島七段が予想した通り、△1二歩▲1三歩成△同歩▲7四角成と進んだ。

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羽生名人は貴重な一歩を入手しつつ、渡辺竜王から奪った角を強力な馬に昇格させた。

「とても難しい局面になりましたが、第一感は△1七香成です。以下▲6四馬に△7三歩▲5五歩という感じでしょうか。(現在の形勢について尋ねると)難しい質問です。封じ手▲1三桂成の局面では、先手がかなり余裕がある形勢かと思いましたが、後手の△3四香が光っています。現在もまだ先手が少し良いと思うのですが、先手としては△3三玉~△2四玉という展開(入玉を目指される展開)はなるべく避けたいので、先手が少し忙しくなっているかもしれません。現段階ではやや先手持ちです」(飯島栄治七段)

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(今朝の山景。雲が影を落としている)

(文)