時刻は11時20分、図の局面で伊藤匠五段が40分以上の長考に沈んでいます。以下(1)▲8八同金△8六飛▲8七歩△7六飛(変化図)の進行は、(A)△6六飛の銀取りと(B)△7九角の王手金取りを同時に狙えるため後手好調と見られます。変化図で▲6五銀と桂を取るのは、△6六飛が王手銀取りです。
伊藤匠五段は何か対抗策が必要です。現局面での候補手は多くあり、(2)▲7七桂△同桂成▲同銀△8九歩成に▲4五桂から反発するのがひとつ。これは比較的穏便といえるでしょう。(3)▲9七桂△8九歩成▲6五銀で先手だけが桂を入手するのは強気な手段。そこで後手の指す手は悩ましいですが、ここまで早指しで進めてきた稲葉八段には何か用意があるはず。(4)▲6五銀△8九歩成に▲6四歩で攻めの拠点作りを優先することも考えられます。