(竜王初挑戦を決めた藤井王位・棋聖。主催紙のインタビューに応じる)
◆藤井王位・棋聖の談話
――本局を振り返って、いかがですか。
藤井 判断が難しい将棋だったと思います。△7四飛(34手目)と引かれたところで長考して、何か攻めていくことも考えたんですが、成算がなかったので。▲4八玉(35手目)ではあまりうまくいっていないかもしれないなと思いながら指していました。そのあと▲6五飛(39手目)から▲8三角(43手目)と打って、こちらの玉が早逃げしたのが生きる展開になったかなと思いました。
――「成算が持てなかった」というのは、▲4八玉に代えて▲8三角を考えていたということですか。
藤井 そこのところは手が広いと思ったんですけど、すぐに攻めてうまくいくのか、判断がつかなかったです。
――優勢、あるいは勝ちを意識したのはどの辺りですか。
藤井 ▲6五桂(61手目)から手順に攻めが続く形になったので、その辺りで勝ちやすくなったかなと思いました。
――初の竜王挑戦となります。
藤井 竜王戦という最高峰のタイトル戦で挑戦できることは、とても光栄だと思います。王位戦の反省を踏まえて、よい内容にしていければと思います。
――豊島竜王とは、竜王戦、王位戦、叡王戦とあわせて、タイトル戦での十九番勝負ということになります。
藤井 竜王戦は二日制の持ち時間8時間ということで、王位戦と同じ条件になるので、王位戦でうまくいかなかったところを修正して臨めればと思っています。
◆永瀬王座の談話
――本局を振り返って、いかがですか。
永瀬 序盤で準備のない形になってしまいました。△8八歩(36手目)に代えて△8六歩しかなかった……▲5八金(51手目)の局面を眺めていて、確かに悪いのは分かったんですけど、前の段階でそれを理解できていなかったので△8八歩としてしまいました。
――今期の竜王戦についてはいかがですか。
永瀬 1組優勝で、いい位置からスタートできたんですけど、結局、藤井王位・棋聖を抜かないとというところがありますので、あまりアドバンテージになるという感じはなかったです。本局も含めて、深い部分の読みで差をつけられてしまった印象がありますので、それを補っていきたいです。