2016年10月の記事
前夜祭(2)
門川大作・京都市長の来賓あいさつ
「こんばんは。竜王戦の幕開けが天龍寺さんで行われます。非常にうれしく、わくわくしております。渡辺竜王、丸山九段の素晴らしい対局を大いに期待しております。そして日本将棋連盟さん、読売新聞さん、また天龍寺さんを始め、皆さんに心から敬意を表し、御礼申し上げます。
私は常々『京都は将棋とともに発展してきた町である』と言っております。『京都の町は碁盤の目や』とも言われますが、碁盤の目ほど道路はございません。ちょうど将棋盤ぐらいかなと。そこに1000年の歴史を超える、様々な将棋にまつわる名所、旧跡がこざいます。そして天龍寺さんを始め、様々な名場面もございました。金閣、銀閣は説明するまでもありません。さらにいま、京都市では市民ぐるみで『歩くまち・京都』、『歩いて楽しいまち』、歩くことが健康によい、環境にもよいと、様々なことを勧めています。『歩』であります。歩が金(と金)になっていくことであります。
この京都の(支部連合会)会長さんらが、幼稚園や保育園や、児童館、小学校で一生懸命に将棋を教えていただき、将棋で人格形成をしていこう。辛抱強く、物事を深く考える、そんな子どもを育てていくことで、いずれ京都から素晴らしい方々が生まれてくると考えております。
どうぞ素晴らしい竜王戦になりますよう、ご祈念申し上げまして、またご尽力賜ってます皆様に御礼申し上げまして、挨拶の言葉とさせていただきます」
安永祖堂・大本山天龍寺国際禅堂師家による乾杯の発声
「皆様こんばんは。僭越ながら乾杯の発声を取らせていただきます。聞くところでは、昭和12年に『天龍寺決戦』と呼ばれ、名勝負が繰り広げられたそうです。ちょうど80年目ということで、その節目に再び名勝負が繰り広げられることを大いに祈念いたしております」
(杯を掲げる両対局者ら、出席者)
前夜祭(1)
18時より、京都ホテルオークラで前夜祭が行われました。
(開場直後の前夜祭会場。多くのファン、来賓、報道関係者が訪れた)
(渡辺明竜王と丸山忠久九段が入場)
谷川浩司・日本将棋連盟会長
「皆様こんばんは。読売新聞社様より先にご挨拶させていただくご無礼をお許しいただきたいと思います。今回、七番勝負直前に対局者が変更となりました。このことで主催の読売新聞社様、また第1局、素晴らしい対局場をご提供いただきました天龍寺様を始め、ご尽力をいただきました皆様方、将棋ファンの皆様方にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。対局者のおふたりは準備期間もなく七番勝負開始ということになりましたが、2ヵ月の長丁場です。持ち時間も8時間ありますので、ぜひ素晴らしいシリーズにしていただきたいと思っております。
改めまして本日は第29期竜王戦第1局、天龍寺対局の前夜祭にお越しいただき、ありがとうございます。読売新聞社様には竜王戦29期、九段戦、十段戦の頃から長く将棋界にご尽力いただいており、厚く御礼を申し上げます。また今回、天龍寺様には本当にお世話になりました。重ねて御礼を申し上げます。
80年前の天龍寺対局のことを少しご紹介させていただきます。昭和12(1937)年のことですが、15年以上に渡りまして公の場で対局をしていなかった阪田三吉先生(没後、贈名人・王将)を、読売新聞社が粘り強く説得をしまして、当時の若手棋士との二番勝負が企画されることになりました。それが木村義雄八段(後の十四世名人)との『南禅寺の対局』、そしてその1ヵ月後の花田長太郎八段(没後、九段)との『天龍寺の対局』になります。持ち時間30時間、約1週間の対局でした。結果は木村八段、花田八段の勝ち。天龍寺の対局で、当時66歳の阪田三吉先生が持ち時間30時間のうち、29時間を使われたというのは驚きました。お三方にとっては、非常に覚悟を決めての対局で、若いふたりにとっては負けられない勝負だったと思いますし、阪田先生にとっては、15年以上のブランクを抱え、非常に不安のある中での対局だったと思います。この2局が、現代の将棋にとって大きな意味のある勝負だったと思っております。
明日から竜王戦が始まりますけれども、ぜひ後世に残る素晴らしい棋譜、素晴らしいシリーズにしていただきたいと思っております」
杉山美邦・読売新聞大阪本社代表取締役社長
「皆様こんばんは。本日は第29期竜王戦第1局の前夜祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。この竜王戦は1988年の第1期以来、将棋界最高のタイトル戦として、トップ棋士が名勝負を繰り広げてまいりました。今期は、ここにおられる渡辺明竜王と丸山忠久九段の激突であります。大変みなさん楽しみにされているかと思います。この名勝負、どういう展開になるか、新聞等でいろいろ報じていきたいと思っております。
さらに今回、天龍寺様には素晴らしい舞台を提供していただき、厚く御礼を申し上げます。先ほど谷川会長から、およそ80年前の『天龍寺の対局』について言及がありましたが、1937年、大阪のトップ棋士阪田三吉、関東のトップ棋士花田長太郎、これを7日間に渡る熱戦を繰り広げたということで、当時の読売新聞を読みますと『不朽の名棋譜成る』という見出しが残っております。当時としては大変注目された名勝負、将棋が世間一般に注目される先駆けとなった名勝負だったと思います。
明日午前9時に天龍寺で対局が始まります。渡辺さん、丸山さんには名勝負を繰り広げられるよう期待しております。いろんな棋士に登場していただいて、いろんな企画を計画しておりますので、ぜひそちらもお楽しみいただきたいと思います。
最後になりますが、最高の舞台を提供していただきます天龍寺様、地元の京都市、共催の日本将棋連盟、連盟支部の方々、対局を支えていただいた皆様、本当に厚く御礼を申し上げるとともに、明日以降の戦いでお二方が名勝負を繰り広げられるよう祈念いたします」
対局室検分
対局者、京都入り
第29期竜王戦、10月15日(土)に天龍寺で開幕!
渡辺明竜王に丸山忠久九段が挑戦する第29期竜王戦七番勝負は、10月15、16日(土、日)に京都府京都市「天龍寺」で開幕します。
※第29期竜王戦七番勝負の挑戦者は、10月12日に丸山忠久九段に変更となりました。
第1局の立会人は井上慶太九段、解説は阿部隆八段、記録係は中脇隆志初段(森けい二九段門下)です。
ニコニコ生放送では無料生放送が行われ、1日目・15日(土)は塚田泰明九段と塚田恵梨花女流2級が、2日目・16日(日)は阿久津主税八段・中村桃子女流初段が出演します。
前夜祭と1日目の現地イベントは事前申し込み制で既に締め切られています。
2日目は下記の通り、当日受付のイベントが行われます。どうぞお運びください。
○2日目大盤解説会情報
日時:2016年10月16日(日)10時受付開始 10時30分開始 終局まで
場所:京都ホテルオークラ3階「翠雲の間」
※対局場とは離れた会場です。ご注意ください。
入場料:2500円(中学生以下は1500円)
定員:300名(先着順/定員を超えた場合は入場をお断りする場合がございます)
出演棋士:青野照市九段、福崎文吾九段、佐藤康光九段、稲葉陽八段、斎藤慎太郎六段、室田伊緒女流二段、室谷由紀女流二段、他
別料金で指導対局・サイン会も行われます。
第1局イベント情報
○関西将棋会館 大盤解説会
日時:2016年10月16日(日) 16時半受付開始 17時開始 終局まで
場所:関西将棋会館4階 多目的ルーム
入場料:1500円 各種割引あり
出演棋士:脇謙二八段、北村桂香女流初段
本局の模様は、棋譜・コメントを夏芽記者、ブログを翔が担当します。よろしくお願いいたします。