2015年12月 3日 (木)

渡辺新竜王インタビュー

Dsc_0740 (大盤解説会場から渡辺新竜王は各社の共同インタビューに応じた)

―― あらためて、3期ぶりの竜王復位となり、率直な感想を。

渡辺 長く持っていたタイトルなので、取られてからは、また戻りたいという気持ちは持っていました。昨年は全然ダメで挑戦権に絡めなかったので、そういった意味では今年、戻ってこれたというのは、望外の結果ではありました。

―― 久しぶりに挑戦者の立場での竜王戦でした。心境は違った部分はありましたか。

渡辺 もちろん気持ちの違いは多少ありました。ただ挑戦者になるのは大変なので、チャンスは逃さないようにしたいと思っていました。

―― 今回は糸谷さんとの対戦で、タイトル戦では初となります。そのことに関しては。

渡辺 自分も30代になったので、年下とも戦っていかなければいけませんし。いままでは上の世代と戦っていましたが。 年下の新しい感覚を持った人たちとも戦っていかなければいけないので、そういった意味では第一歩といいますか。

―― いままで戦いと違って、今度は追われる立場だと。

渡辺 糸谷さんは後輩とはいっても、そんなに歳は違わないので。いままではだいぶ離れた人とやっていたので、そういう意味では気を遣わなくていい部分はありましたね。

―― 糸谷さんの印象は。

渡辺 凄い独特の将棋を指されるのですが、それを通されたというか、気持ちの強さを感じました。彼の立場からすると、第4局で失敗しているので、今日の将棋もまた同じ構想でこられてビックリしました。 しかしブレない強さというのも感じましたね。

―― 第1局のあたりは公式戦で連敗をしていて、あまり調子がよくないなと感じたのですが、どうやって転換したのですか。

渡辺 連敗していたときは、何をやってもうまくいく気がしなかったのですが(笑)。自分の将棋の何がまずいか、考えるいい機会になったというか。勝っているときは、そのままいけばいいので。そういった意味では、たまにそういう負け方をするのも、 糧にしなければならないので。

―― それが第2局から結果として出てきたと。

渡辺 連敗が続くようだと、それも実力ですし。巻き返せたら、それも実力ですし。なるようになれと、そういう心境でした。 特別にやり方を変えるということはなかったです。

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―― 今年一年、棋王防衛、王将失冠、竜王奪取というタイトル戦成績でした。振り返ってみてどうでしたか。

渡辺 タイトルは2つ持っている状態から始まりました。王将戦で1つ減ってしまったので、今回、竜王戦でまた二冠に戻れるかどうか。そういう意味でもこの七番勝負は勝ちたいと思ってやっていました。

―― これで竜王通算10期という節目になりましたが。

渡辺 ちょっと中途半端なところで終わってしまったというのがあったので、区切りの数字を迎えられたことは嬉しく思いますし、このタイトルをずっと持っていたという愛着がありました。なので今回に懸ける思いはありました。

―― 30代になられて正念場ということ、おっしゃられていますが、大きな結果を残されましたが。

渡辺 タイトルをいくつ持っているかは、重要視しています。1つに転落してしまいましたが、そこから2つに戻すことができて、これを励みにさらに増やしていけるようにやっていきたいと思います。