立会人の西村九段と飯塚七段に封じ手予想を聞きました。二人とも▲9六歩を本命に挙げました。
西村九段「私は▲9六歩だと思います。今日の雰囲気ですが、序盤で▲1五歩と端の位を取ったのに対して、糸谷竜王の対応が注目されました。実戦は5筋の位を取って対抗して、それを中心に局面が動きました。双方一長一短があって難しい将棋です。
渡辺棋王はうまく戦いのタイミングをつかめるかどうか、糸谷竜王は攻めを押さえられるかどうかです。封じ手の局面は、すぐ戦いになるか、あるいはにらみ合いが続くか分岐点です。封じ手が▲3七桂なら急な流れになるかもしれません」
飯塚七段「これまで二人の竜王戦は展開が早かったですが、1日目はゆっくりした流れでしたね。封じ手は▲9六歩か▲3七桂が有力です。ここまで守りに手を入れていたので、その流れで▲9六歩かなと思います。▲9六歩は▲9七角の含みを作って有効な手です。
糸谷竜王は駒がばらけているようでバランスが取れていますし、渡辺棋王は固めて攻めを狙っています。互いに持ち味がよく出た進行です。明日は封じ手から少しして渡辺棋王が仕掛けるでしょう。
渡辺棋王の駒組みの無駄のなさは感心しますね。後手の理想形は分かりませんが、居玉のまま戦って、流れに沿って中段へはい出る感じでしょうか。糸谷竜王は一本調子の展開は避けて、乱戦にしたいと思っているでしょう。その中で勝機をつかむのが糸谷竜王らしいですから」