(両対局者が前夜祭会場を退席。藤井九段、鈴木八段が第1局の見どころを語った)
藤井「例年ならどちらかが有利なのですが今回は互角。プロ間でも注目度が高いですね」
鈴木「私は竜王を崇拝しているのですが、家族は名人ファンなんです」
藤井「序盤は二人とも研究家で先行逃げ切りタイプ。記録の渡辺三段はタイトル戦が初めてだそうです。先後が大きいですから、渡辺三段聞いていますか。振り駒はよく振るように」
鈴木「竜王はオーソドックスですよね」
藤井「戦型は何になりそうですか」
鈴木「竜王が先手なら……相掛かりですか」
藤井「竜王の相掛かりは見たことないですよ。矢倉でしょう」
鈴木「名人は先手のときに3手目に▲2五歩と突き越したり変則的にいろいろ指される。竜王はそれを受けて立つと思います」
藤井「二人とも序盤早いですよね。どんどん進むので1日目から見逃せないことが多いです。昨年もそうでしたが、終局時刻が早いときがある。私、立ち会いなので早いのは避けてほしい。熱戦を期待しているので」
鈴木「終盤の寄せ合いが見たいですが、序盤数手の駆け引きも見ものですね。二十数手くらいで形勢が動くこともありますから」
藤井「1日目からバシッと解説します。解説しがいのある対局になると思います。2日目の17時ごろまで互角で難しい将棋が見たいですね」
藤井「竜王の調子ですね。最近調子よくないみたいなんです。名人は好調ですね。第1局で調子が悪くないなとか、あれっ、まだエンジンがかかっていないなというのを見たいですね」
鈴木「渡辺さんは竜王戦で新手を出しますよね。それの精度がとても高い」
藤井「そうですね。アッと驚くような手が見たいですね」
(書き起こし・銀杏、撮影・吟)