丸山の手が8筋にスッと伸びた。突き捨てた筋に再び△8五歩。盤上で銀3枚が当たりになっている。珍しい局面だ。指し手の流れを追っていないと、にわかにはどちらの手番かわかりづらい。
藤井九段「△8五歩か、うまい手だね。あれっ。あれれれ。これ困ったんじゃないの?」
▲7五銀△7四歩と順に銀を追っていけば、先手は銀損を免れない形だ。△7四歩に▲6六銀は△同銀▲同角△1五歩。「何かいい手を教えてください」と困った様子の吉田五段。先手はうまい切り返しが必要だが、控室ではまだその手段が見つかっていない。
渡辺が再び長考に沈んだ。時刻は17時30分を過ぎた。封じ手の時刻が迫っている。丸山が席を外すと、ハッキリ聞こえる声で渡辺は大きなため息をついた。(58手目コメントから抜粋)
■ニコニコ生放送■
中座真七段>こういう細かい利かしが入れば大きいです。▲9五銀は働きが悪くなるので通常は▲7五銀と逃げますが、△7四歩で勝負しますか。しかし銀が3つも当たっている(相手の歩で取られる)局面は珍しいですね。