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図の局面で渡辺が投了を告げた。終局時刻は19時28分。深浦は147手で渡辺を下し、羽生棋聖への挑戦を決めた。
(終局の瞬間。午後7時28分)
(文)
二人の指し手が早くなってきた。控え室は「終局が近いか」という雰囲気。
図は午後7時ごろの局面。渡辺は△6一歩の底歩で粘る。だが深浦の攻めは切れそうにない。渡辺にとってつらいのは、深浦の玉が堅すぎて攻め合いが望めないこと。ここから逆転するのはかなり厳しそうだ。
(藤井九段らと継ぎ盤を囲む窪田義行六段)
(午後7時ごろの対局室。盤側を見る渡辺)
図は午後6時半すぎの局面。ここから深浦が一気に決めに出た。図から▲2二角成△同飛▲6四飛△同金▲5三角(下図)。
角、飛車を叩き切って▲5三角が急所を衝く。自陣は鉄壁、深浦は後手玉の寄せを目指している。「どう受けるのか難しいですよね」と松尾七段。「玉の安定度が大差で、それがそのまま形勢を示しています」。先ほどまで「混戦か」とささやかれていた将棋だが、形勢は先手に傾いたようだ。堅陣を生かして深浦がこのまま寄せ切るのか、それとも渡辺が粘りを見せるか。
図は6五に歩を合わせた局面。後手は守りの銀をはがされたが、この▲6五歩を見て藤井九段曰く「これは混戦だね」。控え室には棋士が集まり、にぎやかになってきた。
(継ぎ盤で検討する阿部四段、藤井九段、上野裕和五段、松尾歩七段)
(別室で対局中の遠山雄亮四段。モニタと継ぎ盤を見る)
(先手側で棋譜を並べる松尾七段)
図は▲2五桂に△2二銀と引いた局面。ここから深浦は▲1五歩と端に手をつける。一歩を入手しての▲7五歩が狙いだ。以下、△1五同歩▲同香△同香▲7五歩に△8三銀!
後手は端で香を手に入れているので、駒割は銀香交換。だが、守りの銀をはがして、普通に考えれば深浦がポイントをあげている局面といえる。
(△2二銀を着手する渡辺)
(棋譜を確認する深浦。午後6時ごろの対局室)
図は午後5時40分すぎの局面。深浦は左桂も端から活用し、後手の玉頭に襲いかかろうとしている。いっぽうの渡辺は遠く2八から馬を利かせ、簡単には倒れない姿勢。先手も一息に攻めつぶすのは容易ではないだろう。
徐々に指し手のペースが早まっている。図の1手前、△2八馬まで消費時間は▲深浦3時間13分、△渡辺3時間。