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2010年6月26日 (土)

羽生棋聖、終局直後の談話

――――今日の1手損角換わりは予想されていましたか。

羽生「何をやられるかわからなかった。ただ、途中までは最近似た将棋を指したことがあり、もう一度やってみた」

――――昼食休憩後、7筋8筋で戦いが起こりましたが。

羽生「先手番で先攻されることになったので、あまり面白くないと思った。いろいろな角打ちの筋があり、受けるのが難しかった」

――――どこで良くなったと思いましたか。

羽生「▲7三馬(77手目)と寄ったところは指しやすくなったと思いました」

――――五番勝負を振り返った感想をお願いします。

羽生「激しい展開が多く、最後までわからない将棋が多かった」

――――棋聖戦3連覇、通算タイトル77期。通算勝数は米長永世棋聖を抜きました。

羽生「これを一つの励みにして次に進んでいければいいなと思う」

羽生棋聖、ストレートで防衛

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図の▲5二歩を見て、深浦王位が投了を告げた。終局時刻は18時22分。消費時間は▲羽生棋聖3時間26分、△深浦王位3時間57分。羽生棋聖はこれで本シリーズを3-0のストレートで制し、棋聖位を防衛。羽生棋聖は三期連続で棋聖位を維持、三冠を堅持した。

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深浦王位、諦めないが……

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図は深浦王位が3四の歩を払った局面。▲2二歩成なら、そこで△8五角▲8三玉△6三角と金を取ろうということか。しかしそこで▲6一飛から9一の香を取れば、先手玉は入玉確定で寄りがなくなる。この手を見て、中村九段は「気持ちが萎えないねえ。すごいねえ……」とため息のような声を漏らす。残り時間を読まれた深浦王位は、「はい」とはっきりした声で答えていた。

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深浦王位、残り持ち時間15分

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17時45分すぎ、菊地三段が「残り15分です」と告げる。深浦王位はしきりに扇子で風を送っている。

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立会人・中村修九段

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(静かにモニターに映る進行を見守る、立会人の中村修九段)

(銀杏)

ついに検討打ち切り

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図は羽生棋聖が▲6三金と打ち、詰めろをかけた局面(▲5二金打△3一玉▲4一飛まで)。図で△4二金と受けるのは、▲3四歩が好手で参ってしまう。銀が動けば▲2二歩成が挟撃形でほとんど受けなしだ。控え室ではついに検討が打ち切られた。深浦王位は図の局面で15分以上考えている。

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(村田班も検討打ち切り。村田顕四段(左)、澤田四段(右))

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先手勝勢?

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図は深浦王位が金を投入して受けた局面。粘りの一手だ。控え室では「後手玉をどう寄せるか」と、さまざまな手段を検討している。ただ、駒を渡して先手玉が危険になる変化もあり、羽生棋聖にとっては良いながらも油断できない局面と言えそうだ。伊藤能五段は、今期の挑戦者決定戦の観戦記で、深浦王位について「しつこい攻めと容易に土俵を割らない粘り強さが特徴。攻防ともに“鳥もちのような”粘着質と恐れられている(6/14産経新聞)」と書いている。深浦王位の本領がここから見られるか。

(文)

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